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ジム・クロウチ物語①〜遅咲きのデビューからの大ヒット、そして皮肉な運命〜

2016.02.07

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この歌はアメリカ南フィラデルフィア生まれのシンガーソングライター、ジム・クロウチが1973年にリリースした曲だ。
十代の頃から音楽の道を志していた彼は、道路工事や教職など様々な職を経て、25歳になって全米各地の小さなクラブなどで“どさ回り”するようになる。
1972年、29歳でようやくABCレコードとアルバム3枚の契約を結びメジャーデビューを果たす。
デビューシングル「You Don’t Mess Around with Jim(ジムに手を出すな)」 がスマッシュヒットを記録し、 翌年にリリースした「Bad, Bad Leroy Brown(リロイ・ブラウンは悪い奴)」で大ブレイクを果たした彼は、多くの音楽ファンから将来を期待される存在となる。
そんな矢先…1973年9月20日、ルイジアナで起きた飛行機事故によって彼は30歳の若さでこの世を去る。
それは偶然にも新曲「I Got a Name(アイ・ガッタ・ネーム)」 がリリースされる前日の死だった。

曲がりくねった道に沿った松の木のように
僕には名前がある
僕には名前があるんだ
歌を口ずさむ鳥や沿道で鳴くカエルのように
僕には名前がある
僕はこの世に生まれたのさ


彼の死を悼むかのように、翌月からこの曲はBillboardチャートで17週間もランクインしたという。
シンガーソングライターとして大いに注目を集めていた彼の遺作となったこの曲だが、ちょっと意外なことに、作詞作曲は別の人物が手掛けたものだという。
この歌は同年に公開された映画『ラスト・アメリカン・ヒーロー』(1973年)の主題歌として作られたもので、作詞はチャールズ・フォックス、作曲はノーマン・ギンベルが担当した。
彼等は、ロバータ・フラックのヒットで知られる「やさしく歌って(Killing Me Softly With His Song)」の作者でもあり、数々の名曲を生み出したゴールデンコンビだ。


この曲で歌われている「〜so life won’t pass me by(人生が僕を追い越していかないように)」とは、何を云わんとしていたのだろう?
29歳でデビューに漕ぎつけ、30歳にして幸先よくヒットを飛ばし“ようやくこれから”という時に事故死したジム・クロウチに重ね合わせると…悲しくも皮肉に聴こえてくる。

父さんがかつてしたように
僕も僕の名前を名乗り堂々と向かっていく
父さんは隠し続けたけど
僕はその夢を果たすため今生きてるんだから
ハイウェイをまっすぐ進むんだ
ハイウェイを転がりながらでも進むんだ
前へ前へと
人生が僕を追い越していかないように



北風がピューピュー空に吹き付けるように
僕には歌がある
僕には歌があるんだ
夜に鳴く鳥や赤ちゃんの泣き声のように
僕には歌がある
歌を歌うために生まれたのさ

いつも歌をたずさえて誇らしげに歌うよ
何処に行きつくかわからなくても
何処にでも誇りを持って進むんだ
ハイウェイをまっすぐ進むんだ
ハイウェイを転がりながらでも進むんだ
前へ前へと
そしたら何かが見つかるはずさ

さあ 自由に進んでいこう
馬鹿だと言われても 自分らしくこれからも
僕には夢がある
僕は夢を持っているんだ
人々の考えが変わっていっても
僕の心を変えることはできないさ
僕には夢がある
その夢を失わない限り

君が望むなら夢を分かち合おう
君の歩む道が僕と一緒なら
僕は君とともに歩いていこう
ハイウェイをまっすぐ進むんだ
転がったって前へと進むんだ
前へ前へと
そしたら何かが見つかるはずさ

ハイウェイをまっすぐ進むんだ
転がったって前へと進むんだ
前へ前へと
人生は自分自身のものだから


──そして、これもまた何かの偶然なのか…彼が事故死するちょうど半年前にあたる1973年3月20日に「Bad, Bad Leroy Brown(リロイ・ブラウンは悪い奴)」がリリースされ、全米1位という大ヒット曲となった。
自分が死ぬことなんか思ってもみなかったであろうこの半年間こそが、彼の音楽キャリアにおいてまさにピークだった。
では生前、彼の人生を最も輝かせた楽曲「リロイ・ブラウンは悪い奴」とはいったいどんな歌だったのだろうか?


■「ジム・クロウチ物語─後編〜なぜか愛された“悪い奴”リロイ・ブラウンの足跡を追う〜」は2/14(日)に公開を予定しております。お楽しみに♪


Jim Croce『Original Albums…Plus』
Edsel Records

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