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ローリンング・ストーンズ50周年記念ツアー制作の舞台裏で──前編

2017.02.19

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2010年の秋、キース・リチャーズの自伝『Life』が出版され、またたく間にベストセラーとなった。
それと同時にキースとミックの関係は深刻な事態に陥ったという。
ミックはその自伝の出版前にキースからもらったゲラ刷りを走り読みしかしていなかった。
そのとき“ヴォイストレーナーを使っている”という記述にだけは目をとめて、その箇所の削除を頼んだという。
だがキースはそれを拒んだ。

「おかしなことに、そんなところを削ってくれなんて言うんだ…誰だって知っていることじゃないか!」


出版直前に自伝の内容がマスコミの一部に漏れると、ミックは“長年の友”でもあるキースにメッタ斬りにされていることにようやく気づいた。
キースは半世紀近くも曲作りやステージを共にしてきたパートナーのことを「耐え難い男」「傲慢な奴」「うるさい九官鳥」などと書いて悦に入っていた。
そして、こんな風にイヤミを綴っていた。

「ときどきだけど…俺の友達だったミックに会いたくなるんだよ。奴は何処へ行っちまったんだ?」


さらに…二人の関係を深刻なものにした言葉はこんなにも辛辣で稚拙なものだった。

「マリアンヌ・フェイスフルは奴のちっぽけなチンポコじゃ楽しめなかったんだよ!奴のキンタマが巨大なことは知ってたけど、それじゃ埋め合わせにならなかったんだな(笑)」


イギリスのタブロイド紙『The Daily Mail』は、こんな見出しで事を騒ぎ立てた。

「ローリンング・ストーンズの死──ある男の嫉妬に殺される!明日発売の伝記で、キースがミックの急所を直撃!!!」


その頃、二人はもとより関係者も含め、二年後(2012年)の夏にすでに組まれているストーンズ50周年記念ワールドツアーでバンドがどれほどの収益をあげるか…誰も予想もつかないほどのビッグプロジェクトがすでに進行していたという。
間違いなくバンド史上最大級のツアーになるはずだった。
U2が2009年から2011年にかけて行った総売上7億2000万ドルのツアーを受けて、ストーンズのツアーはそれを上回る10億ドル超えをするだろうと、プロモーターたちはホクホクと勘定していたという。
当然ストーンズのメンバーも全員が50周年記念ツアーに対して前向きに興味を示していたのだが…このキースの自伝出版のおかげでツアーの実現が危ぶまれたのだ。
そんな不穏な状況を知ったキースは慌ててとりなしはじめたという。

「あれやこれやミックがちょっとムカついたみたいだけど、あいつと俺は大親友だし、まだ一緒に仕事がしたいと思っている。俺はあいつが大好きだ。今でも俺達は親友さ。」


当然ながらミックはとてもそんな“親友っていいもんだ”って気分にはなれなかった。
ミックはキースが自伝に書いた棘のある個人攻撃に心底傷つき落ち込んでいたという。
事態は、キースがしょっちゅう口にしていた“本当のことを言ってもミックなら大丈夫だとおもった”という説明では言い訳にならないくらい深刻なものだった。


<参考文献『ミック・ジャガー ワイルド・ライフ』クリストファー・アンダーセン(著)/岩木貴子、小川公貴(翻訳)/株式会社ヤマハミュージックメディア>

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