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ローリンング・ストーンズ50周年記念ツアー制作の舞台裏で──後編

2017.02.26

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50周年ツアーが危ぶまれる中、ミックはキースをイライラさせる効果てきめんの戦略を何週間もとり続けたという。
完全に無視し、電話にも出ず、自伝について何もコメントしなかったのだ。
二ヶ月間沈黙を守った後に、ようやくコメントをしたが…それもかなり遠回しに触れただけだった。

「個人的には、過去のことをグチグチ言うのは非常につまらないことだと思う。たいていが金のためなんだ。」


そしてキースに対してこんなイヤミをコメントを残した。

「パブでくだをまく元サッカー選手みたいになりたくないだろ?1964年のワールドカップ決勝戦に出たことばっかり話すような…」


当然のことながら、キースの心には50周年記念のことが重くのしかかっていた。
自伝の出版からちょうど一年後…2011年の12月1日にキースはアメリカ・コネチカット州にある邸宅からロンドンに飛び、チャーリーやロンとレコーディングスタジオでジャムセッションを行った。
長年、ストーンズはこんなスタイルでアルバム作りをやってきた。
元メンバーもミック・テイラーも追って参加し、当時はビル・ワイマンも加わるという話もあった。
それもこれも、本当の目的は自伝のことをもう水に流したいとミックを説得するためだったという。

「ミックも大歓迎だぜ!あいつは必ず来てくれるはずだ!」


キースがそうコメントした3日後にミックがスタジオに登場する。
キースはその時のことを鮮明に憶えているという。

「本当に嬉しかったよ。だってほら、あのレコーディングも全部本当はミックを引き寄せるために俺が仕組んだことだからさ…」


ロンも当時のことをこんな風に語っている。

「かつて同じような二人の喧嘩を見てきたけど、あれほど深刻なのはなかったね。問題の解決はこれからだったし、何か折り合いをつけないと行けなかった…。チャーリーと俺はその手伝いをするだけだった。うまくいくようにってね!」


その二ヶ月後…2012年2月21日、ミックは初めてホワイトハウスでもコンサートに出演した。
B・Bキングやバディー・ガイなどといったブルース界の大御所に続き、ミックが数曲熱唱するとオバマ大統領とミシェル大統領夫人が立ち上がって踊り出したという。
ミックはその日のことをこう振り返っている。

「現実とは思えないライブ体験だったよ。特に大統領にマイクを渡すと“スイートホームシカゴ”を歌い出した場面なんかね!」




そして、その数週間後にカーネギーホールで開催されたストーンズのトリビュートコンサートの楽屋裏では「ミックとキースはどうなるのか?」「今後ストーンズのツアーはどうなるのか?」と、出演した著名アーティストたちの心配する声が絶えなかったという。
しかし、そんな不安やファンたちのヤキモキした気持ちを一気に吹き飛ばすかのように二人はステージ上で最高のパフォーマンスを客席に見せつけた。
二人は約二年越しの派手な喧嘩をして、いつも通りにそれぞれがいったん引き籠もってから…いつも通りにバンドのために再び手を組んだのだ。
ほどなくしてストーンズは最新作を発表し、50周年記念ツアーを大々的に行い、ドキュメンタリー映画『CROSSFIRE HURRICANE』を2012年秋に公開した。


こちらの映画『CROSSFIRE HURRICANE』は、2012年にデビュー50周年を迎えたザ・ローリング・ストーンズの軌跡を振り返るドキュメンタリー作品である。
未公開のものを入れると数千時間に及ぶ映像や数万点の写真、ファンにはたまらない未発表テイクを含む音源など、ファンの目にも触れたことのないストーンズの貴重な資料を網羅。
メンバーのインタビューを絡めながら、ストーンズの華やかな歴史に迫る。
製作総指揮は、『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』で監督を務めた名匠マーティン・スコセッシ。ストーンズが刻んだロック史の一部は、ファンならずとも必見だ。


<参考文献『ミック・ジャガー ワイルド・ライフ』クリストファー・アンダーセン(著)/岩木貴子、小川公貴(翻訳)/株式会社ヤマハミュージックメディア>




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