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マスカレード〜虚しい恋のゲームを仮面舞踏会に喩えたレオン・ラッセルの名曲

2017.07.30

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この歌はスワンプロックの創始者でエリック・クラプトンなどに多大な影響を与えた男レオン・ラッセルが1972年に発表したもの。
当時は自身の3rdアルバム『Carney』からのシングルカット「タイトロープ(Tight Rope)」のB面曲として収録されていた。
「マスカレード(This Masquerade)」というタイトルがつけられたこの曲の歌詞には、恋の終りのどうしようもない気持ちが“仮面舞踏会”に喩えられられながら綴られている。

こんなゲームを続けていて僕らは本当に幸せなんだろうか?
君に伝えたい言葉を探してみても
言葉は見つからず…何も分からず
この仮面舞踏会から抜け出せない

結局のところ一緒にいても僕らの心は遠く離れていたんだ
ただ二人とも本当のことを恐くて口にだせなかっただけ
なんとか話し合おうとしたけれど…
かえって言葉が僕らの邪魔をする
この孤独なゲームの中で僕らは途方に暮れる


翌年、カーペンターズがカヴァーしたことによって広くられることとなる。
1976年にはジャズギタリストでボーカリストでもあるジョージ・ベンソンも取り上げ、グラミー賞を受賞するほどのヒットを記録する。
ヒットチャートを駆け上った耳馴染みのいい両者のカヴァーとは違って、レオン・ラッセルのオリジナルバージョンには個性的なアレンジが施されている。
1分20秒もあるシンセサイザー音の長いイントロを経て、なんとも言えない気怠い歌声が聴こえはじめ…聴き手に哀切だけではない恋愛の本質のようなものを投げかけてくるのだ。


仮面(mask)という言葉を調べると…そこには心理学者ユングが唱えたペルソナ(persona)という概念が浮び上がってくる。
その言葉は元来、古典劇において役者が用いた仮面のことを意味するらしいが、ユングは“人間の外的側面”を表す言葉として用いたという。
さらにこのpersonaから派生した言葉に“個人”を意味するpersonがある。
現代社会において多くの人(person)が本来の人間性よりも「地位」「役職」「肩書き」といったもの捕らわれがちで、仮面という言葉は悪しき意味を帯びるものとなっている。
この仮面舞踏会(Masquerade)には、恋人たちが虚構に埋もれ、やがて自己を見失ってゆく姿が描かれているのだ。
レオン・ラッセルは、この歌に深い心理を込めたと言われている。

別れようかと思うが…
君の瞳を見るたびにその思いは消え失せてゆく
どうしてこんな関係を続けているのか?
その訳を知ろうと足掻いてみても
この仮面舞踏会から抜け出せない



<参考文献『ジャズ詩大全-第一巻』村尾陸男(著)中央アート出版社>



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