「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the NEWS

心の旅〜チューリップを一躍人気アーティストにした楽曲の誕生秘話

2023.06.08

Pocket
LINEで送る



「ビートルズの影響です。最初の部分の“ああ”は歌詞が一音足らなかったんです。英語だと一音で“You”とか言えますけど、日本語は一文字しか歌えなくて…」(財津和夫)

1973年4月21日にリリースされたチューリップの3rdシングル「心の旅」。
彼らにとって初のヒットとなったこの歌は、イントロ抜きでいきなりサビから始まるという、当時としては斬新な楽曲だった。
チューリップは前年(1972年)に1stシングル「魔法の黄色い靴」でデビューを果たす。
デビュー曲も2ndシングルも売れず…リーダーの財津は追い込まれていたという。

「これでダメなら福岡に帰るつもりでした。」

まさに“背水の陣”の覚悟で曲作りに取り組んだ時に思い浮かべたのは、上京前の博多時代の心境だった。
その時期を振り返りながら財津はこう語る。

「上京前、当時憧れていた女性に“一晩だけ一緒にいて欲しい”と思いを伝えたことがありまして…まぁ一晩は付き合ってくれませんでしたが(笑)食事をしながら話だけは聞いてくれたんです。その時の思い出を膨らませてこの曲を書きました。」

“別れた彼女への想い”をテーマにしているが、財津はあるラジオ番組で真相を告白している。
歌に出てくる女性は財津の恋人ではなかったというのだ。
片思いの女性がいて、上京する前日にその女性と食事をしたという。
東京に行く決意は伝えたが…結局彼女への思いを伝えられないまま、食事が終ると女性は帰ってしまう。
歌の歌詞に『遠く離れてしまえば、愛は終ると言った』とあるが、彼女はそんな台詞を一言も言っていないというのだ。
愛が終る以前に、始まってもいなかったのだ。
また、この曲を作るに当たって財津が意識したのは、はしだのりひことクライマックスの「花嫁」という曲だった。
その歌詞で歌われている“汽車の旅のロマン”が、幅広い層に受け入れられるのではと考えたという。



ようやく完成した“勝負作”のメインボーカルはギタリストの姫野達也が担当することとなった。
当時、彼らが所属していたレコード会社(東芝EMI)の社内にも「チューリップに何とかヒット曲を!」という空気があったという。
もともとは作詞作曲した財津が歌うはずであったが、レコーディングの直前になってディレクターの発案で姫野に決まった。

「財津より甘い声が魅力の姫野に歌わせよう!」

姫野の甘い声がこの歌詞には絶妙にマッチし、リリース直後からセールスはじわじわと伸びていった。
そして発売から5ヵ月後、ついにオリコン1位を獲得。
1973年9月18日時点で87万枚の売り上げを記録する。
こうしてチューリップは一躍、時代を代表する人気アーティストとなる。
チューリップのメンバーは、上京時から南青山のアパートで5人全員での共同生活をしていたが、この曲のヒットでその生活から解放されることになる。
財津は当時の心境をこんな風に語っている。

「あの曲のヒットによって、チューリップは自分たちの意思とは関わりなくアイドルになってしまった。」



<引用元・参考文献『フォーク名曲事典300曲』/富澤一誠(ヤマハミュージックメディア)>




こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。


【佐々木モトアキ公演スケジュール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12660299410.html




佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。


音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします✒︎
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
sasa@barubora.jp
090-2669-2666

【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the NEWS]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ