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薔薇の歌〜My Love is Like a Red Red Rose

2014.05.18

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世界には素晴らしい“愛の歌”や、学ぶべき詩がたくさんあるのに…日々には何故にこんなにも“言葉だけの愛”や、心無い出来事が溢れているのだろうか?
この美しい“愛の歌”が、我々に大切なことを教えてくれるような気がする…。

♪「My Love is Like a Red Red Rose(我が恋人は紅き薔薇)」/エヴァ・キャシディ


ああ、僕の愛しい人は赤い薔薇のよう
六月の空に返り咲く薔薇のよう
ああ、僕の愛しい人はまるで美しい旋律(メロディ)
その奏でられる音の中にある甘い響きだ


18世紀、ロバート・バーンズというスコットランドを代表する詩人が「A Red, Red Rose(真っ赤な薔薇)」というバラッド(詩)を綴った。
それは、21世紀となった今でも色褪せることのない、実に美しい“愛の詩”だ。
これまで様々なジャンルのアーティストがこの名曲を取り上げている中、33歳の若さで夭折した天才シンガー、エヴァ・キャシディが歌うバージョンは特に秀逸だ。
彼女が歌った歌詞は、バーンズの詩そのものではなく、スコットランド民謡として歌い継がれている「My Love is Like a Red Red Rose(我が恋人は紅き薔薇)」だ。

スコットランド人にとって、Bard(吟遊詩人)といえば彼をさしているくらいに“ロバート・バーンズ”の存在は彼らの生活の中に溶け込んでいる。
日本では、あの「蛍の光」の作者と云えば親しみが湧くだろうか?
バーンズの誕生日(1月25日)には、世界中に散らばったスコットランド人達が“バーンズ・サパー”と呼ばれる料理(腸詰の一種)を食べて「Auld Lang Syne(蛍の光)」唱う習慣があるほどだ。


中世のヨーロッパにおいて同じ吟遊詩人と呼ばれた人達でも「ジョングルール(大道芸人)」が歌うのがバラッドで、「トルバドゥール(抒情詩の詩人、作曲家、歌手)」が歌うのがバラード。
簡単に云えば、Ballad(バラッド)は哀愁のある民謡調メロディで、物語のストーリーを歌うもの。
Ballade(バラード)は、中世(14~15世紀)フランスにゆかりのある詩の形式をルーツとするが、現代ではラブソングを中心とした感傷的な歌詞を特徴とする楽曲を指すのが一般的である。
古くはスコットランド〜アイルランドのケルト文化に由来する。
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【みんなアイリッシュだった~アイルランド系特集】


【ボブ・ディラン、英HMVのシリーズ広告に登場】
2008年の秋、イギリスのHMVの広告シリーズ“My Inspiration”に、100番目のアーティストとしてボブ・ディランが登場した際に、この「My Love is Like a Red Red Rose(我が恋人は紅き薔薇)」が紹介された。
イギリスの新聞・雑誌・HMV店頭で展開されたこのシリーズ広告は、アーティストが自分の仕事や、生きる上でのインスピレーションとなっている詩(歌詞)を紹介する趣旨のもので、これまでには、デヴィッド・ボウイやポール・マッカートニー、エルトン・ジョンなども登場してきた。
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エヴァ・キャシディ『Somewhere』

(2008/Blix Street Records)

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