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KISS結成物語②〜ピーター・クリスとエース・フレーリーが加わってバンドとなる

2019.09.22

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ポールとジーンは楽曲を書き上げていく一方で、音楽以外の面においても“あるべき姿”を目指していった。
まず、二人は意識的に体重を減らそうと決めた。
そして自分たちが新たに生まれ変わるためのステージネームを考えた…

ジーンは“ジーン・クライン(アメリカ移住後の本名)”から“ジーン・シモンズ”へ。
そしてポールは出生名の“スタンレー・バート・アイゼン”から“ポール・スタンレー”へ。

「俺はそれまで自分の名前が嫌いだった。スタンレー・バート・アイゼンなんて名前のロックスターには大したチャンスはなさそうだしね。エルヴィス・プレスリーやロジャー・ダルトリーとは音の響きすら違う。俺はビートルズに洗礼を受けて音楽を始めた。ポール・マッカートニーに憧れていたよ。プレスリー、ダルトリー…色々と組み合わせていくうちに思いついたんだ。ポール・スタンレー!」


ステージネームも決まり、曲もそろい、身体も絞れてき始めた彼らにとって、あと必要なものはバンドのメンバーだった。
まず彼らはドラマーを見つけることにした。

「ローリングストーン誌のページで募集の広告を見かけたんだ。面白そうなヤツだったから電話を入れてみた。」


彼らからの質問は一つだけだった。

「成功するためなら何でもやるか?」


受話器の向こう側で男が答えた。

「ああ、やるよ。」

「ドレスだって着るか?」

「もちろん。」


数日後、彼らはその男とグリニッジ・ヴィレッジにあるエレクトリック・レディ(1970年にジミ・ヘンドリックスが建てた録音スタジオ)の前で待ち合わせた。
彼らより明らかに年上でカッコいい服装で現れたその男の名前はピーター・クリスと言った。
彼らは近くのレストランに入ってピザを注文した。
話し始めて5分も経たないうちにピーターが突然口走った。

「俺のペニスは9インチ(約23センチ)ある。」


ポールは返答に困りながらこう返したという。

「えーと…チーズを回してもらえる?」


数日後、彼らはリハーサルスタジオに入る。
ほとんど読み書きができなかったピーターは、曲の構成を覚えたり、基本的な用語(ヴァース、コーラス、ブリッジ)などをまったく理解していなかった。
どこか偉そうな態度とは裏腹に、そのドラムプレイは特に手応えのあるものではなかったという。

「それでも彼のドラムはがむしゃらで活気に満ちていたよ。奔放で異端な男だったけど、俺とジーンは彼を選んだんだ。」


彼らは次にリードギタリストを探すことにした。
ヴィレッジヴォイス誌のメンバー募集の広告には、こんな言葉を載せた。

「やる気と華やかさを持ち合わせたギタリスト求む!」


1972年12月某日、彼らがオーディションを行ったリハーサルスタジオには約30人ものギタリストが集まったという。
彼らはまず外見で明確な審査基準を作っていた。

「太り過ぎはダメ、髭や坊主頭もダメ、ロックスターになるということは、まずカッコいいルックスが必要なんだ。」


ヒッピー風の男、英語が話せないイタリア人、腕前はいいが不恰好なギタリスト…
どれもピンとこない候補者が続いたあと、片方の足に「赤」もう片方に「オレンジ色」のスニーカーを履いた男が入ってきた。

「彼がギターをアンプに繋いで1分も演奏しないうちに、俺たちは全く違う次元に連れて行かれる感覚になったんだ。4人のコンビネーションは他のどのギタリストとやった時よりも大きなものを生み出していた。その化学反応に確かな手応えを覚えたよ。」


エース・フレーリーと名乗ったその男のギタープレイには、しっかりとした自分のスタイルがあり、ジミー・ペイジやジェフ・ベックといった名ギタリストへのリスペクトを感じることができた。
さらに彼はちょっと変わり者でもあった。
ギターを弾く動きがクネクネしていて、ほとんど口をきかないクールな男だった。

「エースと一緒にプレイし終えた時、俺たちはまるで違う存在になっていたんだ。これはもう認めざるをえない。これだ!これは決定的だ!」


3週間後、彼らはエースを正式にメンバーとして迎え入れる…




<引用元・参考文献『ポール・スタンレー自伝 モンスター 仮面の告白』ポール・スタンレー(著)ティム・モア(著),増田勇一(監修)迫田はつみ(翻訳)/ シンコーミュージック>

<引用元・参考文献『KISS AND MAKE‐UP―ジーン・シモンズ自伝』ジーン・シモンズ(著)大谷淳(翻訳)/シンコーミュージック>

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