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吉田一郎不可触世界

2015.06.08

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やめかけてたタバコに火をつけてしまう
真夜中過ぎの致命的な物語
やめかけてたタバコに火をつけてしまう
思考回路のバラバラが止まらない
(「暗渠」より)


向井秀徳率いるZAZEN BOYSの緻密なアンサンブルの中でどっしりとした存在感を放ち、太く粘っこいグルーヴを生み出していくベーシスト、吉田一郎。彼が始動させたソロ・プロジェクトが〈吉田一郎不可触世界(ヨシダイチロウアンタッチャブルワールド)〉だ。

1982年・長野県に生まれ、12歳からベースを弾きはじめたという吉田一郎。2002年に12939dbを結成し、ナインデイズワンダーのサポートなどを経て、2007年ZAZEN BOYSにベーシストとして参加。聴き手を圧倒するような無二のサウンドとパフォーマンスで大きな人気を博し、ライブ・サポートとして招かれたSAKEROCKをはじめ、ミュージシャンからの支持も厚いプレイヤーである。

〈吉田一郎不可触世界〉としての初リリース作品となるアルバム『あぱんだ』。3曲目の「ピザトースト」にシンセとバッキング・ボーカルで参加したLEO今井以外は、すべての楽器演奏と歌・ラップを吉田が一人で担当。アコースティックギターの弾き語りから、80年代のファンクやニューウェイブの影響を強く打ち出されたナンバー、ディアンジェロにも通じるようなドロドロと深みにはまっていくようなソウル、目まぐるしく展開していく高速ロック・チューンまで、一筋縄ではいかない彼の音楽観が窺える。

収録された楽曲は、作曲をしはじめた中学1年生の頃から現在に至るまで、個人練習のスタジオで気分に任せて楽器を触っては日記のように記録していったフレーズの数々を繋ぎあわせ、曲にしていったという。中には15歳の時に作ったメロディに、31歳になって書いた歌詞を乗せて完成した曲もあるとか(おそらく1曲目の「ルール」であろうか)。十代の頃から悶々と抱え込んできた情念や、三十代を迎えて覚えた諦念やらなんやらが渦を巻く──そんな混沌とした想いを抱えながらも、今日も一歩また一歩と、重たい足を前に運んで生きていかなねばならない無情の世界が、この『あぱんだ』には描かれている。

見慣れた街はいま夕焼け ずるい橙色
ずれ落ちたリュックの肩ひも かけ直してまたずれ落ちた
誰だって驚くだろう 君がダイナマイト持っているから
開かない踏切を待ってた クーデターは遮断機が焦らしてる
(「見慣れた街」より)



‪吉田一郎不可触世界‬『あぱんだ』

‪吉田一郎不可触世界‬
『あぱんだ』

(MATSURI STUDIO/スペースシャワーネットワーク)


official website
http://yoshidaichiro.com/

‪吉田一郎不可触世界「あぱんだ‬」 MV
‪吉田一郎不可触世界「暗渠‬」 MV

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