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馬喰町バンド──子どものような遊び心から生まれる、どこにもないフォークロア

2015.10.05

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すぐれた音楽は記憶の奥底に眠る懐かしい情景を揺り起こしながら、同時に、まったく見たこともない景色を目の前に描いていってくれる──馬喰町バンドが奏でるのは、まさにそんな音楽だ。

2007年に結成。現在は武徹太郎(ギター、六線、唄)、織田洋介(ベース、唄)、 ハブヒロシ(遊鼓、唄)というトリオで活動する、馬喰町バンド。そのインパクトのあるバンド名は、彼らが結成されるきっかけとなったアート・ギャラリーが馬喰町にあったから、そのまま名前にしたという。日本の民謡や伝承音楽、わらべうたや伝統芸能などをモチーフにしながら、アジア、アフリカ、中東と世界各地の民俗音楽からの影響を実に軽やかにミクスチャーしながら、どこにもないフォークロアな音楽を作り上げていく。そこには、平均律やBPMなど当たり前のように取り入れられている西洋音楽の物差しをひとまず横に置き、身体の奥から自然と湧いてくる心地良さを追求したような「うた」が生まれている。先ごろリリースされた4作目となるオリジナル・アルバム『遊びましょう』も、そんな馬喰町バンドの自由な遊び心をさらに推し進めたような仕上がりとなった。

さて、先ほど文中にさらりと書いたが、聞きなれない楽器名があったと思う。たとえば「遊鼓」はハブが開発した自作の担ぎ太鼓。そして「六線」は今作から取り入れられたという、桶太鼓のボディに太棹をつけて6本の弦を張った自作の弦楽器。中国から琉球を経由して伝わった三弦が江戸時代に三味線となったように、同じ頃ウードやリュートが伝わっていたら?という大いなる妄想から生まれた楽器なのだという。楽器の鳴りや響きを追求するあまりに、新たな楽器を開発してしまう奔放さも、彼らの特異なセンスの表れだろう。

ニュー・アルバムの『遊びましょう』というタイトルは、平安時代末期に編まれた歌謡集『梁塵秘抄』にある〈遊びをせんとや生まれけん〉という一節を、現代的に解釈し付けたものだという。たしかに馬喰町バンドの音楽を聴いていると、どこか見覚えのある風景の中で、子どもたちが輪になって手をつなぎながら、聴いたこともない不思議な歌を楽しそうに歌っているような絵が浮かんでくる──余計なものを何も身に纏ってなかった童心にかえって、その輪の中へと無邪気に飛び込みたくなるような一枚だ。



“馬喰町バンド『遊びましょう』”

馬喰町バンド
『遊びましょう』

(HOWANIMALMOVE)


馬喰町バンド official website
http://bakurochoband.com/



馬喰町バンド「わたしたち」 MV
馬喰町バンド「彗星」 LIVE
馬喰町バンド「どどっこやがいん」 LIVE


Live Schedule
10月10日(土)愛知・名古屋ブラジルコーヒー
10月11日(日)京都・タワーレコード京都店
10月11日(日)大阪・タワーレコード難波店
10月12日(祝)大阪・豊中 DECOBOCO farm KITCHEN
10月16日(金)東京・西麻布 音楽実験室新世界
『リリースパーティー in 東京 第2弾』w/青葉市子、川村亘平斎(from 滞空時間)
10月18日(日)茨城・八豊祭
10月24日(土)長野・松本 神宮寺
10月30日(金)東京・吉祥寺 BAOBAB w/チャーリー・ウィリアムス
11月01日(日)埼玉・熊谷 モルタルレコード
11月12日(木)東京・高尾 ひょうたんハウス
11月13日(金)京都・中京区・Bonjour! 現代文明
11月14日(土)岡山・岡山 KAMP
11月22日(日)長野・松本 Bar Aquavitae
11月23日(祝)岐阜・郡上八幡
11月28日(土)東京・恵比寿 STUDIO38
『リリースパーティーファイナル in 東京 ワンマンライブ!!』
詳しくは馬喰町バンド official websiteを参照ください。



*参照文献
インタビュー:自分たちが一番気持ちのいいやり方――馬喰町バンドの4thアルバム『遊びましょう』 – CDJournal CDJ PUSH

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