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柴山一幸──40代の瑞々しいソウルがあふれ出る、充実のポップ・アルバム

2016.11.07

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シンガー・ソングライターの柴山一幸。現在46歳の彼は、2001年に鈴木博文主宰のレーベルで〈メトロトロン〉からデビュー。ファースト・アルバム『Everything』をリリースするも、その後しばらく音楽活動を休止していた。2008年にアルバム『涙色スケルトン』で復活すると、以降はコンスタントに作品を発表。現在までに5枚のアルバムをリリースしてきた。

2016年10月に発表された新作『Fly Fly Fly』は、前作『YELLING』から約1年5年ぶり・6作目となるニュー・アルバム。前作より引き続き、東京60WATTSの杉浦琢雄、元カーネーションのドラマーで現在はControversial Sparkでも活動する矢部浩志らとともに作り上げていったこのアルバムは、ソリッドなロックンロール・サウンドを軸にしながら、実に瑞々しいポップスを描いていく。

アコースティックギターとパーカッションのサウンドに、美しいコーラスの響きが爽やかな「Thank you for me」で幕を開ける本作は、富士山ご当地アイドル〈3776〉の井出ちよのをゲスト・ボーカルに迎えたファンキーな「That’s the way」、少々ネガティヴ入ったリリックと軽快なサウンドのギャップが面白いドライヴィング・チューン「サーモスタット」、切ない大人の恋心を綴るロッカ・バラード「uSOTSUKI」と、多彩な曲調が展開していく。

中盤で耳を引き付けるのは、ロネッツ「Be My Baby」を彷彿させるような、「たとえばこんなレクイエム」。昨年亡くなった実父へ捧げる鎮魂歌として書き上げられたこの曲は、明るさと寂しさを併せ持ったサウンドがやけに胸を締め付ける。

エモーショナルなギター・サウンドが印象的なアーシーなロック・ナンバー「希望の橋」。大空を羽ばたく鳥の視線で綴っていくドラマチックなリリックに心を持っていかれそうになる表題曲「Fly Fly Fly」。そして、柴山の美しいハイトーンの歌声の魅力が遺憾なく発揮されたピアノ・バラード「Natural Man」とじっくりと聴きごたえのある楽曲が続く終盤は、どれも同世代の男たちに向けた柴山の想いをむき出しにしたような曲ばかりだ。

身近にあった〈死〉をきっかけに、人生の折り返し地点を過ぎた男が生き方を見つめ直す──40歳は「不惑」の年などと昔は言ったかもしれないが、まだまだやりたいことも、叶えたい夢もありすぎる。そんな迷える中年男性たちに向けて、柴山一幸は瑞々しいポップスに乗せ、「男たちよ、どんどん惑え」とさりげなくも力強くメッセージを送っているように聴こえた。



柴山一幸『Fly Fly Fly』

柴山一幸
『Fly Fly Fly』

(mao)



official website
http://nicomusic.net/ikko/
http://flyflyfly.maomusic.tokyo/




Live Schedule
11月15日(火)愛知・今池TOKUZO
出演:柴山一幸 (バンドセット) / malachite opening act:そらしの
11月19日(土)香川・高松 RUFFHOUSE
出演:柴山一幸(ソロ)/扇田裕太郎
11月20日(日)広島・KeMBY’S AM
出演:柴山一幸(ソロ)/扇田裕太郎
11月21日(月)兵庫・神戸チキンジョージ
出演:柴山一幸(ソロ)/扇田裕太郎
11月25日(金)東京・青山・月見ル君想フ
出演:柴山一幸(バンドセット) ※ゲスト 伊藤俊吾(キンモクセイ) /The Uranus
詳細はofficial websiteを参照ください。

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