オルガン、トロンボーンを擁する6人組のインストゥルメンタル・バンド、YOUR SONG IS GOOD。パンクロックに、強引にソウルやカリプソ、スカ、ロックステディなどのルーツ・ミュージックをぶち込んだような独特のサウンドと、熱気がほとばしるステージが話題を呼び、ライヴ・バンドとしての圧倒的な支持を集めてきた。

今年、活動15周年を迎える彼らは、カリブ音楽に接近したり、ポスト・ロック的なアプローチを展開したり、あるいはパンク・ロックの衝動を前面に打ち出したりと、その時々の好奇心をアンサンブルに取り入れては、絶えず変化してきたバンドだ。しかし、そうしてサウンドが変化し、表現の幅が広がっていくにつれ、バンドが本来大切にしてきたアティテュードや、音楽的快楽の“ツボ”がより明確になっていくのも、YOUR SONG IS GOODというバンドならではの特徴ともいえる。

3年8ヶ月ぶりに発表されたニュー・アルバム『OUT』はパーカッション奏者の松井泉（元bonobos）をサポートメンバーに加え、より一層ビートに重点を置いたアンサンブルに進化。リーダーでありオルガン担当のサイトウ“JxJx”ジュンが主導し、ここ数年でハウスやテクノといったダンス・ミュージックから受けた影響を、現在のバンド・サウンドで消化していったら、いつの間にか彼ら自身がこれまでに培ってきたルーツ・ミュージックや最新のダンス・ミュージックの共通点や機能性が明らかになるという、興味深い化学反応が起きた。また、彼らが追求してきた、ルーツ音楽への憧憬や、トロピカルな感覚が、これまで以上にロマンチックに描かれた。

15周年の節目に完成させた作品ながら、まるで出発点を見つけたかのようなフレッシュな感触。しかし、彼らが15年かけなければ絶対に到達しなかったであろう、新たなる出発点だ。

YOUR SONG IS GOOD『OUT』

カクバリズム／2013年11月20日発売

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