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ノーナ・リーヴス──デビュー20周年を迎えた彼らの、ポップなステップを辿るベスト盤

2017.03.21

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Hey Boy
泥濘で孤独ぶってるよりは
気絶してくまで踊り続けるべきさ
Groove Tonight
この街はポピュリズムまみれ
決して「憂鬱な者」だけが己を知るわけじゃない
 (中略)
目指した世界がそのままで
辿りついたなら勝利で
誰もがいつの日か Fade Away
満ち足りた順にね

(「O-V-E-R-H-E-A-T」より)



V6やNegicco、吉田凜音のプロデュースや、SMAP、花澤香菜など数多くのアーティストへの詞・曲提供で才能を発揮し、また豊富な知識に裏打ちされた鋭い洞察力でマイケル・ジャクソン、プリンス、ワム!などポップ・ミュージシャンの魅力を伝えていく「語り部」としても高い評価を集める西寺郷太。堂島孝平、レキシ、土岐麻子、佐野元春など多岐にわたるアーティストのレコーディング/ライブ・サポートで活躍するギタリストの奥田健介、ドラマー小松シゲルの3人からなるノーナ・リーヴス。

1997年にワーナー・ミュージックからメジャー・デビュー以来、たとえ暗くうつむきがちなサウンドがもてはやされる時代がきても、たとえシンガー・ソングライター然とした歌が主流となろうとも、彼らはティーンエイジャーの頃に聴き漁った80年代ポップスやソウル、ファンクから受けた衝撃を核に、リアルタイムなサウンドと向き合いながら、その時代時代にしか生まれ得ない最高のポップ・ミュージックのカタチをとことん追い求めてきた。もちろん世のトレンドが逆風となる時期もあった。活動の場も、メジャー・レーベルからインディペンデント・レーベルへと移した。

しかしここ数年で、ダフト・パンクやジャスティン・ティンバーレイク、ファレル、ブルーノ・マーズに代表されるように、70年〜80年代の空気をまとったサウンドが世界的な潮流となり、それがノーナ・リーヴスがずっと信じ貫いてきたポップスとがっちりと噛み合ってきた。とくに2010年代に入ってビルボードレコードからリリースされた『POP STATION』(2013年)、『FOREVER FOREVER』(2014年)、『BLACKBERRY JAM』(2016年)のオリジナル・アルバム3作は、時代とのシンクロ二シティに加えて、ミュージシャンとしてのキャリアと成熟を窺わせる豊かな表現が、サウンドやソングライティイングにさらなる深みをもたらした傑作ばかり。

そんな追い風の中リリースされるのが、『POP’N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES』。デビュー20周年を記念してリリースされたベスト・アルバムとなる本作は、デビュー作から2009年発表の9thアルバムまでのメジャー在籍期からセレクトされた人気の高い15曲に、新曲「O-V-E-R-H-E-A-T」を加えた全16曲を収録。録音年に20年の開きがあることすら忘れさせるほどに今の時代とフィットする、瑞々しくも普遍性に満ちた楽曲の数々。そこから浮き彫りになるのは、ノーナ・リーヴスが20年にわたって研ぎ澄ませてきた、ポップな審美眼の揺るぎなさだ。

このベスト・アルバムのリリースを機に古巣ワーナーへと舞い戻り、ニュー・アルバムのレコーディングもはじめているというノーナ・リーヴス。20周年を迎えた彼らは、この先もさらに鮮やかなポップ・ワールドを見せてくれることだろう。


ノーナ・リーヴス『POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES』

ノーナ・リーヴス
『POP’N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES』

(ワーナー・ミュージック)


official website
http://www.nonareeves.com/


デビュー20周年記念 赤坂ノーナ最高祭!!! 第一夜
2017年3月26日(日)東京・赤坂BLITZ
出演: NONA REEVES / 堂島孝平 / サニーデイ・サービス

デビュー20周年記念 赤坂ノーナ最高祭!!! 第二夜
2017年5月28日(日)東京・赤坂BLITZ
出演:NONA REEVES / KIRINJI

詳細はofficial websiteを参照ください。

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