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女王蜂──自身の中に棲む少年性が書かせた、もっともポップでもっともダークな問題作

2017.04.24

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2009年にアヴちゃん(ボーカル)を中心に神戸で結成された、女王蜂。2011年にアルバム『孔雀』にてメジャーデビューを果たし、収録曲「デスコ」が映画『モテキ』のメインテーマに起用されると、性別や国籍や年齢など境界線のすべてを超越したようなアヴちゃんのパーソナリティ、聖と俗/美と醜/愛と憎/生と死……相反する感覚が混ざり合ったカオスな詞世界を、天使のような高音と地獄の底から聞こえる咆哮のような低音を自在に行き来する歌、そしてダークなロックからアッパーなダンス・ミュージックまでを内包した音楽性が目まぐるしく展開していくサウンドで、大きな注目を集める。

2013年から1年間の活動休止期間を挟むも(その間、アヴちゃんは中村達也、長岡亮介、KenKenらと獄門島一家というバンドを結成)、2014年に活動を再開。現在は結成当初からのメンバーであるやしちゃん(ベース)、ルリちゃん(ドラム)、そしてサポートとして参加していたひばりくん(ギター)を正式メンバーに迎えた4人編成で活動中だ。

通算5作目のオリジナル・アルバムとなる『Q』は、アヴちゃんの中に以前からあった少年性が表出して一気に書き上げたという表題曲を軸にした全9曲を収録。ピアノのみの伴奏から合唱隊のコーラス、ストリングスが重なり、力強くもポジティブな印象を与える「アウトロダクション」から幕を開ける本作は、注目の女性ラッパーDAOKOをフィーチャーしたEDM「金星 feat. DAOKO」や、和を感じさせるメロディと裏打ちのリズムの融合が面白い「しゅらしゅしゅしゅ」、とびきりにファンキーなダンス・チューン「DANCE DANCE DANCE」「超スリラ」「失楽園」と、サウンドは女王蜂史上最高にポップな方向へと振り切っている一方で、家庭内のインモラルな風景を切り取ったような「Q」や、どこか「ヨイトマケの唄」にも通じる美しくも痛切なバラッド「雛市」のように、自身の過去や内面を容赦なく抉っていく描写が強烈だ。

もっともポップでもっともダークな問題作──女王蜂はニューアルバム『Q』で、重く分厚い扉を軽々と開いた。



女王蜂『Q』

女王蜂
『Q』

(女王レコード)


official website
http://www.ziyoou-vachi.com/



女王蜂全国ワンマンツアー2017「A」
4月29日(土)広島セカンドクラッチ
4月30日(日)岡山IMAGE
5月06日(土)札幌PENNYLANE24
5月12日(金)HEAVEN‘S ROCK さいたま新都心 VJ-3
5月13日(土)柏PALOOZA
5月25日(木)京都磔磔
5月27日(土)高松DIME
6月02日(金)仙台darwin
6月03日(土)盛岡 CLUB CHANGE WAVE
6月11日(日)金沢AZ
6月25日(日)名古屋BOTTOM LINE
7月02日(日)Zepp DiverCity TOKYO
*詳細はofficial websiteを参照ください。

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