「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the NEXT

トレモノ──カラッと楽しく心を躍らせながら激しく感情を震わせる、石垣島出身のポップ・バンド

2017.07.11

Pocket
LINEで送る

海はたった一つ 君はたった1人
ゆらゆら揺れてる でもキラキラ光ってる
君に押し寄せる いま波を掴むよ
シャララ 口ずさむ君へ この長い夜が明ける前に
歌声よ届け 心の奥まで
シャララ 波打ち際のメロディ
(「波打ち際のメロディ」より)


BEGINを輩出した石垣島出身の木田龍良(ボーカル、ギター)、狩俣匠吾(ドラム)、仲間全慶(ベース)、そして西表島出身の難波良(ギター)の4人からなるポップバンド〈トレモノ〉。

メンバーはそれぞれ別々のバンドで活動していたのだが、上京後に同郷のよしみもあって意気投合し、2009年に結成。ソウル/ファンク/レゲエ/スカ/アフロ/カリブ/サーフミュージックと多岐にわたる指向性を、実にナチュラルなアプローチでチャンプルーしていっては、カラッと明快なポップスへと昇華していく。ちなみにバンド名は〈みんなの心を震わせる(=Tremolo)者たち〉という意味が込められているという。

2013 年に開催された、タワーレコード主催オーディション〈Knockin’ on TOWER’ s Door vol.3〉にてグランプリを獲得し、ミニアルバム『TropiCarnival』でデビューを果すと各地のフェスやライブイベントに次々と出演。2014年には、So many tears(スカパラ、Polarisのメンバーからなるバンド)、 bonobos、SCOOBIE DOといった、トレモノのメンバー自身が敬愛してやまない先輩たちを招いた道場破り的な自主イベントも開催するなど、ライブ活動も精力的に行い、2016年には年間50本以上のツアーを回るなど、そのサウンドと歌声を着実に広めていった。

今年7月には、メジャー・デビュー・アルバムとなる『island island』をリリース。寄せては返す波のようにゆったりと心地よいレゲエ・ナンバー「ゆらゆら」に幕を開ける本作は、狭い都会の青空から島の風景を連想して日々を乗り越えていこうというカリプソ調な1曲「island island」、ミッドテンポなソウル・ナンバー「ファンファーレ」「波打際のメロディー」、アコースティックな響きでやさしく染み渡るフォーキーな「パズル」と、これまで同様に多彩なジャンルをチャンプルーした音楽性はそのままながらも、より歌とメロディラインの美しさを際立たせた内容となった。そんな印象を顕著に感じさせるのが、アイリッシュな薫りも漂わせる「MANDY」、メランコリックな表情をみせる7分を超える大作「太陽」、一番大切な人へまっすぐに愛を伝える「ずっと、あなたと。」といったバラード群。ボーカル木田のどこか寂寥感を孕んだ歌声の魅力と、それを引き立てる表現力豊かなアンサンブルに、ポップ・バンドとしての成長を感じた。

カラっと晴れやかなサウンドでオーディエンスを楽しく踊せながらも、そこはかとない切なさや哀愁を漂わせた歌でホロッとさせる──まさに〈トレモノ〉なポップ・ミュージックが詰まった傑作だ。


ここから遠く遠く その先で聴こえる
ずっとずっと なかから そとの方へ 響いてる
鮮明に届けよう 僕の声
ほんのすこしでいい 外は晴れ
あふれる ライ あいうえる ライフ
あつめる アイズ さあ手をあげよう
(「MANDY」より)



トレモノ『island island』

トレモノ
『island island』

(ワーナーミュージック)



official website
http://toremono.com/


island island tour 2017
7月17日(月)東京・代官山晴れたら空に豆まいて
 サポートゲスト:ASA-CHANG
7月29日(土)神奈川・ららぽーと湘南平塚
8月05日(土)青森・六ヶ所村大石総合運動公園
8月10日(木)東京・表参道WALL&WALL
8月25日(金)沖縄・沖縄Output
9月01日(金)東京・吉祥寺STAR PINE’S CAFE
9月03日(日)大阪・東心斎橋 CONPASS
10月07日(土)愛知・名古屋 JAMMIN
10月08日(日)神奈川・江ノ島OPPA-LA
10月09日(月)静岡・静岡 BLUE NOTE 1988
11月17日(金)東京・代官山UNIT
 サポートゲスト:ASA-CHANG

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the NEXT]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ