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比屋定篤子──沖縄を拠点に活動するシンガー・ソングライター、20年の足跡を総括する充実作

2018.01.23

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1997年にシングル「今宵このまま」でメジャーデビューし、『のすたるじあ』『ささやかれた夢の話』『Lua laranja』と傑作アルバムを発表してきたシンガー・ソングライター比屋定篤子(ひやじょうあつこ)。武蔵野美術大学在学中から音楽活動をはじめたという彼女は、ブラジル音楽を素地にしたたおやかなグルーヴを感じさせる涼しげな歌声が何よりの魅力であった。

2001年に結婚・出産のため故郷である那覇に拠点を移し、マイペースに活動を展開しながら、アルバム『ひやじょう』『A Million Smiles』や、〈流線形と比屋定篤子〉名義のコラボCD『ナチュラルウーマン』や、歌とピアノのみで録音した沖縄のわらべうたのアルバム『RYUKYU STANDARD』を発表。ギタリスト笹子重治(CHORO CLUB)とのデュオを中心としたライブも沖縄県内外で継続して行っていて、今も根強い支持を集めている。

デビュー20周年を迎えた比屋定篤子の、実に10年ぶりとなるオリジナル・アルバムが『風と鱗』だ。サウンド・プロデューサーにKIRINJIのメンバーとしても活躍するベーシストの千ヶ崎学を迎えて制作された本作。盟友・笹子重治、影山敏彦(tico moon)と後藤秀人(キンモクセイ)のギタリスト勢に加え、忌野清志郎やGANGA ZUMBAの活動で知られる宮川剛(ドラム)、Qujila/KIRINJIの楠均(ドラム)、ROVOやオルケスタリブレをはじめ数多くのセッションをこなす岡部洋一(パーカッション)、堀込泰行のサポートなどで活躍の伊藤隆博(キーボード)、練達の弦楽器楽団ロンサム・ストリングスなど豪華ミュージシャンたちがレコーディングに参加。さらに自身の詞曲の他に堀込高樹、金延幸子、青山陽一らが楽曲提供を手がけ、アニバーサリーに華を添える。

上京して間もなくの不安と期待が入り交じる感覚を春の風景に投影した「風に咲いた季節」、デビュー前から歌っていたという「生まれる」(持田裕子カバー)、彼女とほぼ同時期にデビューしたキリンジ「エイリアンズ」カバー、長く連れそう二人の悲喜交々を綴ったような「夫婦善哉」「迷子の言葉」、子育ての日々に生まれる迷いや発見を紡いでいく「みんなはできた君はできない」(堀込高樹作詞)、沖縄のわらべうた「じんじん」、地元ラジオ曲の依頼を受けて作成した平和を祈念する歌をロンサム・ストリングスがリアレンジした「命つなぐ手と手」、かつて暮らした都会の美しい秋の風景を思い描く「君のいない東京」……と、沖縄〜東京〜沖縄と生活の基盤を移しながら歌い続けてきた彼女の20年を、ブラジル音楽をエッセンスにした豊穣なバンド・サウンドとともに総括していく充実の作品に仕上がった。そこに響く比屋定篤子の歌声は、デビュー当時に感じたさわやかさはそのまま、大らかな包容力と繊細な表現力を携えてさらなる魅力を放っている。


比屋定篤子『風と鱗』

比屋定篤子
『風と鱗』

(Hapiness Records)


official website
http://www.atsukohiyajo.com/

比屋定篤子with笹子重治 “風と鱗"リリース記念ライブ・デュオ編 2018
2月27日(火)愛知・名古屋 オキナワAサインバーKOZA
2月28日(水)静岡・浜松 Esquerita 68
3月1日(木)静岡・静岡 LIVING ROOM
3月2日(金)東京・青山 プラッサオンゼ
3月3日(土)千葉・本町 厨房TETSU流
3月4日(日)神奈川・大船 花いちぜん

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