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ジュリアン・ラージ──アメリカーナを新たな次元へと牽引する、若き俊英ジャズ・ギタリストの新作

2018.02.20

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1987年生まれ現在30歳のジャズ・ギタリスト、ジュリアン・ラージ(Julian Lage)。4歳の時に父親からギターを与えられた彼はメキメキと腕を上げ、なんと8歳の時にはカルロス・サンタナと共演して大人顔負けのプレイを聴かせていたという。


12歳でヴィブラフォンの巨匠ゲイリー・バートンに見出されると、2004年に発表されたゲイリー・バートンのアルバム『Generations』に小曽根真THE TRIOともに参加。翌2005年にはジュリアン・ラージ(当時17歳)を筆頭に、平均年齢19歳の若手プレイヤーを集めた〈ゲイリー・バートン~ジェネレーションズ~〉として初来日も果たしている。

その後も同世代のピアニスト、テイラー・アイグスティとのデュオをはじめ、ジャズ・ピアニストのフレッド・ハーシュ、ウィルコのギタリストとしても知られるネルス・クライン、パンチ・ブラザーズのクリス・エルドリッジといった個性あふれるミュージシャンたちとの共演作を次々とリリース。ジャズの本道からインディー・ロック・シーンまでジャンルを超えた活動を見せる傍ら、自身のソロ名義による作品も『Sounding Point』(2009年)を皮切りにコンスタントに発表してきた。

2016年にリリースしたソロ4作目となるアルバム『Arclight』は、メインに使用しているギブソンLC-5からテレキャスターに持ち替え、ギター・トリオ編成でレコーディングした作品。ノラ・ジョーンズ「Don’t Know Why」の作曲者としても有名なシンガー・ソングライター、ジェシー・ハリスがプロデュースを手掛けた本作は、オリジナル曲以外にW.C.ハンディ「Harlem Blues」や、フランク・シナトラの歌唱でも知られる「I’ll Be Seeing You」などのカバーも交え、スウィング、カントリー、ラグタイムといった、20世紀初頭から半ばのアメリカ音楽を包括的に見つめ直しながら彼ならではの新たな解釈で表現した内容で、高い評価を集めた。

約2年ぶりとなる新作『Modern Lore』は、引き続きジェシー・ハリスをプロデューサーに迎えたトリオ編成のアルバム。ビバップ以前のジャズにフォーカスを当てた前作からさらに一歩二歩踏み出し、リトル・リチャードやボ・ディドリーといった萌芽期のロックンロールが持っていたダイナミズムやグルーヴをも湛えたサウンドへと進化。その真ん中で響くジュリアンのギターは、ルーツ・ミュージックへのリスペクトに満ちていながらも、一方でそれを突き放していくようなスタンスが絶妙だ。乾いた音色から繰り出すメランコリックなフレージングでロマンに満ちた世界を描いたかと思えば、時折パンキッシュな衝動をむき出しにしていく。

ロックンロール、カントリー、フォーク、ブルース、ジャズとさまざまなスタイルを自在に行き来していくセンスは、もとよりジュリアン・ラージのギター・プレイから感じられる魅力であるが、力強く切れ味の鋭いテレキャスターの音色を軸にしたこのトリオが奏でる充実のアンサンブルが、アメリカーナ音楽を新たな次元へと連れていってくれることだろう。

ジュリアン・ラージ『Modern Lore』

ジュリアン・ラージ
『Modern Lore』

(Mack Avenue / King International)



offcial website
http://www.julianlage.com/

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