転がるように旋律を奏でながらカラフルな色彩を描いていくピアノ。多様なリズムを背景に縦横無尽にビートを生み出していくドラム。そして牧歌的な口笛のメロディ──シンプルなアンサンブルで、豊かな情景を描いていく二人組。
『WOOD JOB! ~ 神去なあなあ日常~ 』『サバイバルファミリー』『ヒメアノ～ル』をはじめとする映画音楽やCM音楽を多数手がけ、キセルなどのサポートや、ikanimo、NATSUMENのメンバーとしても活動する鍵盤奏者・野村卓史。細野晴臣、星野源をはじめとするアーティストたちのレコーディング／ライブ・サポートで活躍し、奥田民生と岸田繁とともに結成したバンド〈サンフジンズ〉での活動で知られるドラマー・伊藤大地。高校時代の同級生同士により結成されたインストゥルメンタル・デュオが、〈グッドラックヘイワ〉だ。
二人はともに、SAKEROCK（2015年解散）のオリジナル・メンバーとして音楽キャリアをスタート。2002年に野村がSAKEROCKを脱退後、2004年に伊藤の声かけによりグッドラックヘイワが始動した。2006年にリリースした『GOOD LUCK HEIWA』以降、計3作のアルバムを発表している。2009年に一旦活動を休止するが、2013年末に再始動。その後は、それぞれのソロ・ワークと並行してライブを中心に活動を展開している。2016年には国内16箇所をめぐるツアーを大盛況のうちに終わらせ、2017年3月にはインドネシアで開催された東南アジア最大のジャズフェスといわれる〈international JAVA JAZZ FESTIVAL〉に唯一の日本人グループとして出演するなど、国内外問わず高い評価を集めている。
彼らの最新アルバム『Lm』は、2017年に開催された全国ツアー〈グッドラックヘイワの 10,000 ルーメン☆ツアー〉にて先行発売されたもの。1万ルーメンという輝度の高いプロジェクターを持ち込み、映像作家・山口崇司によるVJとスリリングなコラボレーションを展開した、実に見応えのある内容だった。そのツアーでも演奏されていた楽曲を含むアルバムが、満を持して全国発売されることとなったのだ。
オリジナル・アルバムとしては約8年ぶりとなる本作は、彼らに原点といえよう1st『GOOD LUCK HEIWA』と同じく、MTR〈AKAI DPS 16〉を使用して、録音からミックスまでメンバー自らがDIYで手掛けた、原点回帰的な作品。サウンドもそれに呼応するように、ピアノとドラム（そして口笛）を基軸にしたシンプルなアンサンブルへと立ち戻っている。彼らが劇伴を手がけた映画『森山中教習所』テーマ曲として作られた「シティ」や、盟友キセルをゲストに迎えて録音した「ピンポンバール」「てくてく様」、ライブでも人気の高い「風見鶏」「長生き」など7曲を収録。
ニューオーリンズ、R&B、エキゾから、ブレイクビーツ、ポストロック、ゲーム音楽など、多岐にわたる音楽的バックグラウンドをパッチワークのように組み上げていく独特のセンスは、ますます研ぎ澄まされてきたような。そこに二人が個々に行ってきたソロ・ワークや、グッドラックヘイワとしてのライブの積み重ねを経た進化した圧倒的な演奏が、エモーショナルに爆発していく。
人懐っこいポップ・センスにあふれていながら、知らぬ間にいびつに歪んだ世界へとズルズルと引きずり込まれていくような、めくるめく音楽体験が味わえる一枚だ。
グッドラックヘイワ『Lm』全国発売記念ツアー
“NICE TO SEE YOU AGAIN !” スペシャルライブ
4月25日（水）東京・渋谷 CLUB QUATTRO
4月27日（金）大阪・梅田 CLUB QUATTRO
ゲスト辻村豪文 from キセル（g）、辻村友晴 from キセル（b）、曽我大穂from CINEMA dub MONKS（fl）
『Lm』全国発売記念ツアー “NICE TO SEE YOU AGAIN !”
4月28日（土）岡山・津山 Live&Dining bar Talumache Arrow
4月29日（日）島根・松江 興雲閣
4月30日（祝）兵庫・姫路 ハルモニア
5月2日（水）京都・京都 磔磔
5月3日（木）三重・伊勢 賓日館
5月18日（金）宮城・仙台 retro back page
5月19日（土）山形・山形 蔵オビハチ
6月2日（土）北海道・小樽 GOLD STONE
6月3日（日）北海道・函館 あうん堂
6月9日（土）熊本・熊本 合名会社早川倉庫
6月10日（日）長崎・長崎 出島テラス
7月7日（土）新潟・新潟 ジョイアミーア
7月13日（金）香川・高松 umie
7月14日（土）高知・高知 蛸蔵
official website
http://goodluckheiwa.jp/lm/
