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Frisco/Exotico De Lago──夏の夜に心地良くトリップできる、インスト・レゲエの傑作2選

2018.08.22

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7月から連日続いた酷暑も少しやわらいできたものの、まだまだ夏を終わらない──蒸し暑い夜に心地良くトリップさせてくれる、インストゥルメンタルのレゲエ・アルバムを2つ紹介しよう。

まずは、先頃7年振り通算6枚目のアルバム『TOKYO』をリリースした、Frisco(フリスコ)。1998年に結成されたこのバンドは、メンバー・チェンジを繰り返しながら現在は8人編成で活動中だ。ホーンセクションに加え、ペダルスティールを擁する一風変わったアンサンブルが奏でるのは、インストゥルメンタルによるロックステディ。ペダルスティールの浮遊する音色。華やかでいてキレのあるホーン。どこまでもいい湯加減のグルーヴを紡いでいくリズム・セクション。その異端でいびつな美しさを最大限に引き出すダブワイズ──TOKYOが産み出したレゲエ・サウンドは、今作でもオリジナルな輝きを見せている。またFriscoはこれまでの作品で、たとえばスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「Runnin’ Away」や、ジャミロクワイ「Virtual Insanity」と、レゲエの定番リディムのリメイクを掛け合わせては換骨奪胎したカバーを発表してきた。今回の『TOKYO』では、ソウル・シンガー多和田えみをフィーチャーしてルー・リード「Walk On The Wild Side」をカバー。またオリジナル曲「Uncertainty Principle」では初音ミクを起用するなど、自由なアイディアが随所にうかがえる、充実のアルバムに仕上がっている。


FRISCO『TOKYO』

Frisco
『TOKYO』

(smokey branch)


続いて紹介するのは、ギタリスト長久保寛之を中心としたバンド、Exotico De Lago(エキゾチコ・デ・ラゴ)。伊賀航(ベース)、北山ゆう子(ドラム)らと結成したlakeや、曽我部恵一ランデヴーバンド、光風&GREEN MASSIVEでも活躍する彼は、2012年にソロ名義で『Rock “Exotica” Steady』を発表。そのエキゾチックでヴィンテージ感あふれるサウンドをバンドとして発展させたのが、このExotico De Lagoだ。2015年には初めてリリース作品となる7インチ「Cherry Blossom Blues」を発表。「さくらさくら」をモチーフにしたこの楽曲は、海外のリスナーからも反響を集めた。そして2018年6月、バンドのファースト・アルバム『Exotico De Lago』をリリースした。1曲目の「Far East Exotica」から、いつの時代のどこの国の音楽かも判別つかないような、まさにエキゾな世界へと飛ばしてくれる。レゲエ/ロックステディを基調とたド渋いバンド・サウンドのインパクトにクラクラしながら聴き進めてくと、その音楽にジャズ、ラテン、クラシック、ニューオーリンズ、チャイニーズ、日本古謡といった多様なエッセンスが感じ取れるはずだ。そして、そのエッセンスとなっているいずれの音楽にも共通するサウダーヂみたいな感覚に、いつしかどっぷりと浸っているのに気づくだろう。

FriscoもExotico De Lagoも、インストゥルメンタルを主にしながらも、豊かな歌心を感じさせてくれる。せつなさを漂わせた美しい音楽が、終わりかけの夏にはよく似合う。


EXOTICO DE LAGO『EXOTICO DE LAGO』

Exotico De Lago
『EXOTICO DE LAGO』

(ROSE RECORDS)



Frisco official website
https://friscosound.org/

Exotico De Lago
http://rose-records.jp/artists/exotico_de_lago/
http://exoticodelago.com/

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