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キミーゴ a.k.a. qimygo──ジャマイカ音楽を素地に、等身大のポップスを綴っていく女性SSW

2019.02.16

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 キーボードの弾き語りスタイルで、ラヴァーズ・ロックに根ざしたポップ・ミュージックを紡いでいく、シンガー・ソングライター〈キミーゴ a.k.a. qimygo〉。日本のフォークやニューミュージック、またスカやロックステディに影響を受け、キーボード奏者として活動しはじめた彼女は、ALPHATONES、The Drops、The Cavemans、J.J.Sessionなどのスカ/レゲエバンドに参加。並行して、曲作りも行い、2013年からソロ・アーティストとしても始動。クラブやライブハウスで演奏活動を重ねてきた。

 2015年、EP「アメノヒ/Marble」と、敬愛する細野晴臣の「恋は水色」のカバーも収録したミニアルバム『暗闇ファンファーレ』でソロ・デビュー。その後も、モッチェ永井とのデュエット曲「言葉のいらないうたばかり」や、アルトン・エリスのカバー「浮気なハニー」、金延幸子のカバー「青い魚」など、7インチEPを立て続けにリリース。全国各地でライブを展開し、その歌声は幅広いリスナー層へ確実に広がっていった。

 そんなキミーゴ a.k.a. qimygoが、かつてはっぴいえんどやはちみつぱい、高田渡、西岡恭蔵などの名作を輩出したレーベル〈Bellwood Records〉から、フル・アルバム『らんどすけいぷ』をリリースした。LITTLE TEMPOや川上つよしと彼のムードメイカーズなど数々のバンドやセッションで活躍するドラマー大石幸司を筆頭に、小池龍平(bonobos、LITTLE TEMPO)、AKIHIRO(KODAMA AND THE DUB STATION BAND)、小粥鐡人(Matt Sounds、TUFF SESSION)、野月隆志(雨ふらしカルテット)、重田直希(J.J.Session)、矢野佑樹(ミートザホープス、Cubetone)など、彼女がこれまでの活動で出会ってきた、レゲエ、ジャズ、ファンク・シーンで活躍するミュージシャンたちが多数参加。ジャマイカン・ミュージックのエッセンスを存分に注入しながら、現在の感覚にぴったりとフィットするようなサウンドを生み出している。

 アルバムにはモッチェ永井がコーラスに参加した、UAの1996年発表曲「電話をするよ」(作詞曲はホフディランのワタナベイビー)や、井上陽水と忌野清志郎の共作曲「帰れない二人」、日本では西田佐知子の歌唱で知られる「コーヒールンバ」など、今作でも選曲のセンスが光るカバーが収録されている。が、やはり注目はアルバムの大半を占める、キミーゴ自身によるオリジナル曲だろう。リード曲「夜間飛行」をはじめ、普通の女の子が日々を暮らしていく中で、ふと浮かんでくる感情や、ほのかに揺れる恋心を、背伸びしない言葉で詩情豊かに綴っていく。どこか切ない物語も、キミーゴのほがらかな歌声のおかげで、カラッとした後味になるのもいい。

 派手な飾り立てはないけれど、そこに描かれる“らんどすけいぷ”は、たおやかに鮮やか。歩く速度で、そっと寄り添ってくれるような音楽だ。


キミーゴ『らんどすけいぷ』

キミーゴ a.k.a. qimygo
『らんどすけいぷ』

(Bellwood Records)


“らんどすけいぷ”リリースパーティ
2019年2月22日(金)東京・吉祥寺BAOBAB
Live:キミーゴ&MAYONAKA band set
Selector:石川道久(THE SKA FLAMES)、大石始

other live schedule
2019年2月17日(日)東京・渋谷BALL
2019年3月9日(土)東京・池袋knot

official website
qimygo.com

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