TAP the ROOTS

ハード・レインズ・ゴナ・フォール~ディランの手で蘇ったフォーク・バラッド

2014.06.19

Pocket
LINEで送る

ボブ・ディランの名を世に知らしめたセカンド・アルバム「フリー・ウィーリン」には3曲のプロテスト・ソングが収められている。

ひとつ目は誰もが知っている「風に吹かれて」。
ふたつ目は、より直接的な表現をとった「戦争の親玉」(ディランはこの曲をバチカンに招かれた時に披露している)だ。
そして3曲目がこの「ハード・レインズ・ゴナ・フォール」である。

 どこに行ってたんだい、私の青い瞳の息子よ
 どこに行ってたんだい、私の可愛い子よ


という歌詞で始まるこの歌は、「ロード・ランダル」もしくは「ロード・ロナルド」というタイトルで知られているフォーク・バラッドが下敷きになっている。
このところあまり城にいつかない領主となるべき息子に、母親の心配は募る。そして息子に問いただす歌だ。

 どこに言ってたの、ロード・ランダル、私の息子よ
 どこに言ってたの、私のハンサムな若者よ


この歌の終わりにはいくつか種類があり、ある歌では母親の心配をよそに放蕩を続ける息子が転落死という最後を迎える。
またある歌では、旅先で女から毒の入ったウナギを食べさせられ、死の淵で母親に女への恨みを伝える。
いずれにせよロード・ランダルに待っているのは悲惨な結末だ。

ディランの歌では、息子は放浪していたのではなく、国中をくまなく旅して、国が直面している現実を目に焼き付けてきたことになっている。そして恐ろしい情景が次々と語られていく。
赤ん坊の周りを狼が囲み、木の枝には血が滴り、話し続ける人々の舌はもつれ、子供たちは手に刃物を持ち。。。といった具合である。その描写はまさに、ディラン版の「黙示録」といった感じである。
そして最後に主人公は言い放つのだ。

 激しい、激しい、激しい
 激しい雨が降りそうなんだ


1960年代初頭、アメリカはキューバ危機の真っ只中。
この歌を聴いた多くの若者たちは、ディランが歌う雨を「核の恐怖」に置き換えたのである。




Bob Dylan『The Freewheelin’ Bob Dylan』
SMJ

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

[TAP the ROOTS]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑