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60歳の時~ひとり静かに死んでいった人たちに何を想うのか

2014.07.31

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今週も、お盆のお話です。

全国各地で、お盆は少しずつズレているが、僕らはこの季節に先祖と会話を交わす。
だが、けっして言葉をかけられない人たちがいることも忘れてはいけないのだろう。
そう、ひとり、静かに死んでいった人たちだ。

エルトン・ジョンは「60歳の時」で、ひとりの老戦士について歌った。
戦士が英雄だった過去を引きずる主人公は今や、年老いている。
そして戦は、いつの間にか、何故戦うのかというその明確な理由を失っていた。
だからこそ、ひとり、犬と暮らす主人公は呟くのだ。
私は老いてまで生きていたくないと。。

誰が私を教会に連れていってくれるのだろう
60歳の時
もらった老いぼれ犬も死んで10年が経つというその時に
セニョリータ、ギターを弾いておくれ
君自身のために
私のロザリオは壊れ、ビーズはこぼれ落ちてしまった

あなたはその偉大なる軍服をハンガーにかけ、銃を置いた
あなたの戦った戦争は楽しいものではなかった
そしてあなたが私に手渡そうとしている未来に銃は無関係だ
私は生きていたいとは思わない
60歳を過ぎてまで


エルトンの歌を書いたバーニー・トーピンは、ベトナム戦争を頭の片隅に置きながらこの詩を書いた。

お盆の季節は日本では、終戦の思い出とリンクする。
名もない兵士たちが、どれほど命を落としたことだろう。
そして、沖縄を中心に、いわれなき市民が、どれほど命を落としただろう。

この時代に生ある僕らは、60歳まで生きたい未来を想像できているだろうか。
生きていることが、ステキなことだと言える未来を想像できているだろうか。

ところで。。。
話は人間だけじゃない。
人間に捨てられる動物たちの数は、増えることはあっても
減ることはない。




エルトン・ジョン『僕の歌は君の歌』
USMジャパン

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