TAP the ROOTS

僕と君は異質なのか、同質なのか、ジョンとポールの激論

2015.07.23

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♪ 君は「イエス」と言い
  僕は「ノー」と言う
  君は「ストップ」と言い
  僕は「ゴー」と言う
  オー・ノー!
  君は「グッドバイ」と言い
  僕は「ハロー」と言うのだ
  「ハロー、ハロー」
  僕には何故君が「グッドバイ」と言うのかわからない ♪


ポップなメロディーに乗せた「ハロー・グッドバイ」は、ビートルズが1967年11月に発表した16枚目のオリジナル・シングル曲である。
最高傑作との呼び声も高い「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を発表した後、ビートルズのメンバーは個人行動を加速化させていった。
そして世界は、紛争と対立の中にあった。国家と国家が、人種と人種が、世代と世代が激しい自己主張を繰り返していた。

そんなある日、後に「ビートルズ・シークレット・ヒストリー」を執筆することになるアリステア・テイラーはポールの自宅に遊びに行った。
そして、彼はこうポールに尋ねたのである。
「なんでそんなにたくさん曲のアイディアが出てくるんだい?」

ポールは、答えるかわりに、アリステアをダイニングルームへと誘った。
そこにはハーモニウムが置いてあった。手彫りの彫刻が施されたハーモニウムは、彼がインドから持ち帰ったばかりのもののようだった。

「僕が何か歌詞を歌ったら、その正反対の言葉を叫んでみてくれよ」
ポールがそう言うと、実験が始まった。

♪ 僕が「高い」と言うと
  君は「低い」と言い
  君が「何故」と言うと
  僕は「わからない」と言う
  オー・ノー!
  君は「グッドバイ」と言い
  僕は「ハロー」と言うのだ
  「ハロー、ハロー」
  僕には何故君が「グッドバイ」と言うのかわからない ♪


「ハロー・グッドバイ」はそんなふうにして出来上がった曲だ。



この曲に関して、辛らつなコメントを残したのがジョンだった。
「3分間の反駁と無意味な言葉の羅列に過ぎない」

ジョンからすれば、明るくポップに「対立」を歌うポールが我慢できなかったのかも知れない。
そしてジョンは、この「ハロー・グッドバイ」に反駁するように、この曲を書くことになる。

♪ 僕は彼で
  同じように君は彼で
  同じように君は僕で
  僕らはみんな一緒なのさ ♪


そう、ジョンは「アイ・アム・ザ・ウォルラス」を書いたのだ。



対立を際立たせたポールと、同化を訴えたジョン。
どちらも僕らが暮らす人間社会の側面なのだろう。

だからこそ、「ハロー・グッドバイ」のシングルのB面には「アイ・アム・ザ・ウォルラス」が収録されているのだ。
ジョンとポールがビートルズというレコードの表と裏であるように、多くの議論と対立は、探し出すべき答えの両面であることが少なくない。

2015年の日本。
ビートルズを聴いて育ったシンガーたちは、どんな歌を歌うのだろうか。


ザ・ビートルズ『マジカル・ミステリー・ツアー』
Universal

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