ボブ・ディランが1965年に発表した「Like A Rolling Stone」。
“転がる石のように”というタイトルは、「Lost Highway」という曲からインスピレーションを得たという説がある。
1949年に“カントリー音楽の父”、ハンク・ウィリアムスがカバーしたことで知られるようになったこの曲には、”俺は転がる石。ひとり、迷子さ”という歌詞が出てくる。
ディランはそのフレーズを下敷きにして、短編を書き始めた。
それはハイソサエティから転げ落ちた新人女優の物語。
結果、その一部が曲の歌詞となっていった。
ディラン最大のヒットとなったこの曲は、6作目のスタジオアルバム『Highway 61 Revisited』(追憶のハイウェイ61)に収録された。
アルバム全体のプロデューサーを担当したのは、後にサイモン&ガーファンクルやジョニー・キャッシュ、レナード・コーエンを手がけるボブ・ジョンストン。
この曲だけは、ディランの2ndアルバム以降を手がけてきたトム・ウィルソンがプロデュースを担当している。
彼は当時“セッションマン”としても才能を光らせていたアル・クーパーをスタジオに招き、あの印象的なオルガンのフレーズに乗せてこの曲をヒットに導いた。
この頃に撮影されたドキュメンタリー映画『Dont Look Back』では、ディランが暇を見てはタイプライターを叩いているシーンが出てくる。
それを退屈そうに眺めながらギターを爪弾くジョーン・バエズが印象深く…この名曲の誕生をクールに見守っているようにも映る。
Like A Rolling Stone / Bob Dylan