TAP the ROOTS

エリザベス・リードの足取りを辿って

2017.05.25

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 デレク・アンド・ザ・ドミノスの「レイラ」に参加したことで、一気にデュアン・オールマンの名声は高まった。ギターの神とも呼ばれたエリック・クラプトンがアメリカン・ロックに挑戦した時、クラプトンと真向に渡り合えるギタリストがいたことに、アメリカのロック・ファンは喝采を送った。
 そしてデレク・アンド・ザ・ドミノスがクラプトンとデュアンのツイン・ギターでファンを魅了したように、デュアンのバンド、オールマン・ブラザーズ・バンドでも、デュアンとディッキー・ベッツによる2本のギターが絶妙なアンサンブルを奏でてみせたのである。



 デュアン・オールマンがセカンドカミングのギタリストだったディッキー・ベッツや弟のグレッグ・オールマンらとオールマン・ブラザーズ・バンドを結成したのは、1969年のこと。地元のカプリコーン・レコードと契約するが、さほどの成功は収められなかった。
 だが、1971年にライブ盤『アット・フィルモア・イースト』が発売されると、そのスリリングなライヴが圧倒的な支持を集めることになる。中でも圧巻だったのは、「エリザベス・リードの追憶」「ウィッピング・ポスト」「マウンテン・ジャム」といった15分から30分にわたって繰り広げられる演奏だった。

 そしてファンの間では、当然、疑問が浮かんだ。
 エリザベス・リードって誰なんだ?

「エリザベス・リードの追憶」はディッキー・ベッツの作品である。ベッツは、この曲のアイディアをマイルス・デイヴィスの1959年の作品『カインド・オブ・ブルー』に収録されている「オール・ブルース」から得たことを認めていた。オールマン・ブラザーズ・バンドのジャム・セッションは、彼らなりのジャズのサザン・ロック的解釈だったのだろう。



 だが、ベッツはエリザベス・リードが誰であるかについて、説明することはなかった。
 そんな時、デュアンが地元マスコミにヒントを与えたのである。謎を解くカギは、ローズ・ヒル墓地にある、と。

 ローズ・ヒル墓地は、バンドのメンバーが暮らしていた場所からほど近いところにある公園墓地である。そしてその墓地を調べてみると、確かにそこには、エリザベス・リードの名前があった。

 Elizabeth Johns Reed Napier
 Nov.9,1845 – May.3,1935



 エリザベス・リードは1845年に生まれ、1935年まで生きた女性だった。
「ディッキーはあの墓の前でガールフレンドとファ×クしたのさ」
 デュアンがそう漏らした、という説もある。

 だが、最後まで、ディッキー・ベッツは真相を語ろうとしなかった。エリザベス・リードという名前に託した女性が誰かを明かせば、友人を裏切ることになるからだった。
 そう、ディッキー・ベッツは、当時、ボス・スキャッグスのガール・フレンドとこっそりデートを重ねていたのである。

 だが、オールマン・ブラザース・バンドの人気が全米に広がっていった1971年の晩秋。デュアンはオートバイ事故で短すぎる一生を閉じることになる。
 伝説のスライド・ギタリストは、エリザベス・リードも眠る、ローズ・ヒル墓地に埋葬された。
 そして「エリザベス・リードの追憶」は、そのままデュアン・オールマンの追憶となったのである。



オールマン・ブラザーズ・バンド『フィルモア・イースト・ライヴ』
USMジャパン

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