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移民の歌~温泉と氷の国からやってきたレッド・ツェッペリン

2018.02.08

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 1970年6月28日、英国シェルトン・マレットで開かれたバース・フェスティバルにヘッドライナーとして出演したレッド・ツェッペリンは、15万人の観衆の前で圧倒的な演奏を見せつけ、そのライブは今でもファンの間で伝説として語り継がれている。
 そのライブのオープニングを飾ったのが、ジョン・ボーナムの轟くようなドラムスであり、ロバート・プラントの雄たけびであった。「移民の歌」は、このステージで初めて、披露されたものである。


俺たちは氷と雪の国からやってきた
温泉の煙が立ち上る白夜の国から


 バースは2世紀頃、ローマの支配下において発展した街である。街の中心は温泉で、温泉を取り囲むように城壁が建てられた。



 では、何故、温泉なのだろうか。
 確かに、ローマ人の温泉好きは有名で、彼らは進軍した土地で温泉を掘っている。
 だが、バースはローマ人がやってくる前から、温泉の土地であった。そして当時、その地に住んでいたケルト人にとって、温泉は信仰の対象だったのである。

 バースと温泉。その関係がわかったところで、気になるのが氷と雪と白夜という単語である。これらの言葉は、バースには似合わない。
 ロバート・プラントがその謎について答えている。

「私たちはまさに、氷と雪の国からやってきたということだ」

 レッド・ツェッペリンは、アイスランドの首都、レイキャヴィークに建設されたスポーツアリーナのオープニング・アクトに、文化大使として招待されていたのである。バースにやってくる6日前のことだ。

「だが、私たちが到着する前日から、アイスランドの公務員がストライキに入ってしまった。コンサートもキャンセルしかない、という状況さ。
だが、若者たちが動いた。彼らは大学のホールを会場に用意してくれた。そしてそれは、素晴らしいコンサートが開けたのさ。
アイスランドへの旅が、あの歌のきっかけになっているんだよ」


 アイスランドの南西部に位置するレイキャヴィーク。その地名はまさに「煙たなびく湾」という意味である。その湾に船が入っていくと、温泉の湯けむりが見えたのだろう。

 アイスランドに人が住むようになったのは、9世紀のことだと言われている。それまで住んでいたのは、ホッキョクギツネくらいのものだったらしい。
 では、どこからこの氷と雪と温泉の土地にやってきたのかといえば、ノルウェー、そしてスコットランド、アイルランド、イングランドのケルト人であった。
 そしてこのケルト人の末裔に、ひとりの冒険者が現れる。レイフ・エリクソン。コロンブスより500年も前にアメリカ大陸にたどり着いたヨーロッパ人である。


神々のハンマーが
我々の船を新しき大地へと
誘うだろう




 ロバート・プラントは歴史好きである。
 ヴァイキングたちが、木を投げ入れ、そのたどり着いた地に定住したという逸話を、彼は歌詞に取り入れたのである。
 そしてアイスランドへ最初にやってきたとされるノルマン人、インゴールヴル・アルナルソンもまた、温泉の神の導きなのか、その方法でレイキャヴィークにやってきたのだ。

 寒い日々が続く。
 温泉でツェッペリンかな、週末は。


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