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北原白秋が歌詞に込めた思いと、過去の成功体験にしがみつく世界と社会

2018.05.24

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待ちぼうけ
待ちぼうけ
ある日せっせと
野良稼ぎ
そこに兎がとんで出て
ころりころげた
木の根っこ


「待ちぼうけ」は、1924年に作られた歌だ。
 作詞は北原白秋、作曲は山田耕作。
 この歌は満州唱歌のひとつとされている。満州に住んでいた日本人の子供たちのために作られた唱歌というわけで、北原白秋は、中国の韓非子の説話「守株待兔」をモチーフに、この歌を書いたと言われている。

 ある日、切り株にぶつかって死んだうさぎを見つけた農夫。わざわざ田畑で汗を流さなくても獲物が手に入るという成功体験を得た農夫は、鍬を捨て、切り株に次なる獲物がぶつかるのを待っていた。


待ちぼうけ
待ちぼうけ
しめた
これから寝てまとか
待てば獲物がかけてくる
兔ぶつかれ
木の根っこ


 だが、うまい話は、そう何度も起こることはない。農地は荒れ果て、農夫はみんなの笑いものになった、という話である。
 歌詞は、韓非子の物語通り、の展開となる。


待ちぼうけ
待ちぼうけ
もとは涼しい黍畑
いまは荒れ野のほうき草
寒い北風
木の根っこ


 北原白秋の思いとは別に、戦争の勝利という成功体験に酔った日本軍が、無謀にも戦線を拡大していったことはよく知られている。

 さて。
 現在の世界はどうだろうか。
 たとえば、核をちらつかせ、援助を得ては約束を破ってきた国がある。彼らは今回も、かつての成功体験に縛られてはいないだろうか。



 勝てば官軍ということで、スポーツマンシップを忘れた大学は今、世間からの激しいバッシングを受け、何を思うのだろうか。



 激しく動く、世界と社会。
 他山の石として、今、この歌を聞き直したい。


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