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捨てられた古臭いラブソングをヒットさせたスリー・ドッグ・ナイト

2018.07.26

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 スリー・ドッグ・ナイトは不思議なコーラス・グループだった。彼らが歌うと、どんな曲も魔法がかかったようにヒットした。
 1967年。ダニー・ハットン、コリー・ウェルズ、チャック・ネグロンという3人のボーカリストを中心に結成された彼らは、1969年の「ワン」の大ヒット以来、数多くのヒット曲をチャートに送り込んだ。
「ワン」は、「ウィズアウト・ユー」などのヒット曲の作者としても知られるハリー・ニルソンの作品だった。
 翌1970年には、ランディー・ニューマンの作品「ママ・トールド・ミー」が全米ナンバーワンに輝いている。レオ・セイヤーの「ショウ・マスト・ゴー・オン」をカバーし、ヒットさせたのも、スリー・ドッグ・ナイトだった。



 今回取り上げるのは、1971年のヒット曲「オールド・ファッションド・ラブソング」である。
 作者は、ポール・ウィリアムズ。
「愛のプレリュード」など、カーペンターズに作品を提供していたポールは、この曲も当初、カーペンターズに歌ってもらうつもりだった。だが、リチャード・カーペンターはカレンの歌声に似合わないと思ったのか、ポールの申し出を断っている。
 その、いわば捨てられた曲をスリー・ドッグ・ナイトは大ヒットさせたわけだ。
「オールド・ファッションド・ラブソング」。
 単なる古ぼけた、時代遅れの恋歌は、どのように生まれたのだろうか。



「当時、私はひとりの女性とつき合っていた。パティ・ダールストロムという名前のソングライターだった」と、ポール・ウィリアムズは語っている。
「ある日、私は彼女とデートに出かけようとしていた。そしてまさに、家を出ようとした時、電話が鳴った」
 それはカーペンターズが歌った「愛のプレリュード」がゴールドディスクを獲ったことを知らせる電話だった。



「愛のプレリュード」(原題「We’ve Only Just Begun」)は、元々、カリフォルニア州のクロッカー・ナショナル・バンクのCMソングとして書かれたものだった。結婚し、新しい人生を歩み始めたカップルに向けた銀行のコマーシャル・ソングだったのである。そしてこの曲を耳にしたリチャード・カーペンターが、レコーディングを申し出てレコード化されたものだった。
「私は、パティを彼女の家に迎えに行った。そして彼女の顔を見るなり、出かける前に電話があったことを話したのさ。古臭いラブソングがゴールド・ディスクになった、とね」
 その瞬間だった。
 ポールは、自分の口から出た言葉に驚いた。
 古臭いラブソング。
 オールド・ファッションド・ラブソング。
 歌が降りてきた瞬間だった。
「ちょっと、いいかい。私はそう言って、彼女のピアノに向かった。そして20分もかからずに、あの曲は完成したのさ」

 そして、ポールは出来上がった曲を、カーペンターズの元に持っていったわけである。
 この曲を逃したカーペンターズは、その後、似たコンセプトの「イエスタデイ・ワンス・モア」を大ヒットさせることになる。


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