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泣かずには歌えないバラード「幼き恋の日々」

2019.04.11

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「この曲を歌う時、僕は泣いてしまうんだ」

 エルトン・ジョンは、1975年に発表されたアルバム『キャプテン・ファンタスティック(&ザ・ブラウン・ダート・カウボーイ)』に収録された「幼き恋の日々」について、そう語っている。
「幼き恋の日々」の原題は「We All Fall In Love Sometimes」。
 誰もが時として恋に落ちる、といった意味である。

賢者は言う
今日は雨模様
その声はスピーカーを
パチパチと鳴らし
眠たげな地下鉄に
滴り落ちる


 エルトンが泣きたくなる、と語ったその歌は、バーニー・トウピンのそんな詩的な言葉から始まる。退屈な日常。だが、そんなどんよりとした雲に差す明かりのように、人は恋に落ちるのだ、とバーニーは言葉を並べていく。

「僕はバーニーに恋をしていたんだよ」とエルトンは2013年、ローリングストーン誌で語っている。「性的な意味じゃない。僕の全人生において、彼こそは僕が探していた人だということだよ。ソウルメイトだね」

 ソウルメイトとは、魂の伴侶といった意味だ。
「ずいぶんと長い付き合いだが、僕らは今でもナイーブなままだ。当時から、僕はゲイだったし、バーニーは結婚していた」
 でも、ナイーブな関係だったからこそ、つながってこられたのだと、エルトンは語っている。

満月は明るく
星明りに満ちた夕べ
ふたりで曲を書き
僕が弾くと
何かが起こる
不思議な感覚だ


 雲に覆われた日常に明かりが差すように、エルトンとバーニーはふたりで曲を書き、奇跡を起こす。


子供じみた
ナイーブな想いを
隠そうとする
シンプルな調べ
だが、それが起きる時
誰もが恋に落ちるのだ


 それ、とは明かりであり、光である。



 エルトン自身が歌う「幼き恋の日々」ももちろん、いいが、この曲を、エルトン以上にナイーブに歌い上げたシンガーがいる。
 是非、ジェフ・バックリーのカバー・バージョンも合わせて聴いてみてほしい。


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