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「朝日のあたる家」にまつわる2つの説

2019.09.05

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1964年9月5日。
 エリック・バートン率いるアニマルズが歌う「朝日のあたる家」が全米チャートのナンバーワンに輝いた。
 レッドベリーやウディ・ガスリーといった伝説的なシンガーが歌い、ボブ・ディランがデビュー・アルバムで取り上げたこのフォーク・ソングのタイトルにもなった「朝日のあたる家」の正体については、今でも論争が繰り広げられている。


ニューオリンズに
一軒の「ハウス」がある
「ライジングサン」と
呼ばれている「ハウス」が




 これまでもっとも信じられてきたのは、「ライジング・サン」は売春宿だったという説である。
 実際、ニューオリンズのセントルイス通り826番地から830番地の地に、売春宿があったという記録が残っている。
 1862年から1874年まで、12年に渡ってこの売春宿にひとりの娼婦が働いていた。ニューオリンズとは、新しいオルレアンという意味で、フランス領だった土地柄だが、この娼婦もフランス系で、その名を、マダム・ルソレイユ・ルヴァンといった。英語では「ライジング・サン」という意味である。
「朝日のあたる家」は、彼女を主人公とした歌だ、というわけである。

 だが、「ライジング・サン」とは、刑務所のことだ、とする説がある。彼らはその理由として次の歌詞を引用する。


私はニューオリンズに戻る
また、あの足かせにつながれるため


 売春宿の娼婦は、足かせにつながれてなどいなかった。これは、刑務所である証明になると。
 古くから、ニューオリンズには、オリンズ・パリッシュ女子刑務所がある。そしてこの刑務所の門には、かつて、朝日新聞の社旗よろしく、ライジング・サンのアートワークが施されていたのである。
 ゆえに、「ライジング・サン」のハウスとは、ニューオリンズにあった女子刑務所のことだ、というわけである。



 真偽のほどは、わからない。
 だが、アニマルズのこのバージョンを聞いたボブ・ディランが、衝撃を受けたのは確かなようだ。
 そしてそれは、ディランにエレキ・ギターを持たせる理由のひとつになったようなのである。

 伝統的なフォークソングを歌い続けること。
 求められるまま、歌を歌い続けること。
 それは、ディランにとって、牢獄であり、自らの魂を切り売りすることだったのだろう。


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