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都会よりも「スモール・タウン」での暮らしに価値を見出したジョン・メレンキャンプ

2019.10.17

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1991年10月17日。
ジョン・クーガー・メレンキャンプは、シアトルでのラジオに出演中、気を失い、病院に搬送された。
珈琲の飲み過ぎ、煙草の吸い過ぎ、朝食抜きの生活、そしてストレスが原因だと、病院の心臓専門医は診断を下した。

彼は別に、シアトルにいたから珈琲を飲み過ぎたわけではない。故郷を離れ、ツアーやプロモーションなどで各地を回っていると、どうしても煙草や珈琲の量が増えてしまうのである。


俺はスモール・タウンで生まれた
そしてスモール・タウンで暮らしている
たぶんスモール・タウンで死ぬだろう
ああ、この小さなコミュニティーで


ジョン・メレンキャンプの代表曲のひとつ「スモール・タウン」で彼はそう歌っている。


だが俺はスモール・タウンで
あらゆることを見てきた
スモール・タウンで大いに
楽しんできた
ロスのお人形さんと結婚したが
彼女をスモール・タウンに連れてきた
今じゃ彼女も俺と同じ
スモール・タウン・ガールさ


ロスのお人形さんというのは、彼の結婚相手、モデルのエレーヌ・アーウィンのことである。
売れてからも、彼は故郷のインディアナ州セイモアから離れようとはしなかった。レコード会社は彼を「スモール・タウンの代表」として売り出そうとしたものだが、それは別に作り話ではなかったのだ。

ところで、彼は何故、この歌を書いたのだろうか。

2013年、彼はローリング・ストーン誌に語っている。
それはニューヨーク出身の連中と話していた時のことだった。中西部出身の奴は皆、田舎者だと彼らは考えているようだった。だから、この曲を書いたのだと彼は言った。

「充実した人生を送るのには何も、ニューヨークやロスで暮らす必要などないんだ。俺は、ここから逃げ出さなきゃ、なんて考えるような男ではなかった。小さな町で暮らすことで、落ち込むことなんてなかった。家族がいて、仲のいい仲間の近くにいることに俺はただ、価値を見出しているだけさ」



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