TAP the SCENE

コヨーテ・アグリー〜実在するNYのバーを舞台にしたロック度99%映画

2016.11.09

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1997年。アメリカの雑誌『GQ』に掲載された1本のコラムが、ことの始まりだった。それはNYのクラブバー「コヨーテ・アグリー・サルーン」で働いた経験があった作家エリザベス・ギルバートの記事。

この店には毎晩のように男たちが押し寄せて、バーテンダーたちのワイルドでセクシーな接客に酔いしれているというもの。カウンターに上がって踊り、派手に酒を注ぎ、時には火を吹くなど、過激なパフォーマンスを繰り返す彼女たちに魅せられる者が後を絶たず、もはや見逃せない人気スポットになっていたのだ。

これを読んだ女性脚本家が店の常連になるにつれ、映画化の話が動き始めた。80年代に『フラッシュダンス』で空前のダンスブームに火をつけたプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが製作を担当。『コヨーテ・アグリー』(Coyote Ugly/2000)は、田舎町の女の子が大都会に出てきて、厳しい現実に直面しながらも夢を掴む姿を描いた、好感の持てるストーリーとなった。

リアルさを演出するため、女優たちにはほとんど無名の新人が起用された(スーパーモデルのタイラ・バンクスもキャスティング)。彼女たちは一流のバーテンダーと振付師から特訓を受け、主題歌は人気ソングライター、ダイアン・ウォーレンが書き下ろして、人気カントリー歌手リアン・ライムスが歌った。そんな中、喧騒とは無縁の父親役を演じた名優ジョン・グッドマンの静かな存在が光る。

店のジュークボックスからはロックファンにはたまらない曲の数々が大音量で流れているが、中でもブロンディの「One Way or Another」を歌い踊るシーンは印象的。コヨーテ・アグリーとは、酔っ払って翌朝ベッドに見知らぬ相手が隣にいて、腕を噛み切ってまで逃げ出したいと後悔することを意味する。

ニュージャージーの田舎町でのウェイトレスを辞め、大都会NYへ旅立つヴァイオレット(パイパー・ペラーボ)の夢は、ソングライターになること。亡くなった母親と同じ夢だ。寂しがる父親(ジョン・グッドマン)を振り切って、さっそくNYでデモテープの売り込みを開始するが当然誰も相手にしてくれない。安アパートは泥棒に入られ、すぐに生活資金も底をついてしまう。

そんな時、終夜営業のカフェで大金片手に楽しそうにお喋りをする女たちと遭遇。全員「コヨーテ・アグリー」で働くスタッフだという。ヴァイオレットは店のオーナーであるリル(マリア・ベロ)に会い、働くチャンスをもらう。店の扉を開くと、そこには余りにも刺激的な光景が広がっていた。

ゾーイ(タイラ・バンクス)は弁護士、レイチェル(ブリジット・モイナハン)はモデル、キャミー(イザベラ・マイコ)は女優と、みんなそれぞれが夢を抱いて働いている。だがヴァイオレットは人前でどうしても自分の歌を披露する勇気がなく、なかなか動き出せない。

そんな彼女に好意を寄せるケヴィン(アダム・ガルシア)はチャンスを与えようとするのだが、こちらもタイミングが合わずじまいで、恋にも陰りが。父親の事故でニュージャージーに一旦戻ったヴァイオレットは、こんな調子で本当に夢を掴むことができるのだろうか?……

ビリー・アイドルの「Rebel Yell」、ストレイ・キャッツの「Rock This Town」、ジョージア・サテライツの「Keep Your Hands to Yourself」、インエクセスの「Need You Tonight」、ドン・ヘンリーの「All She Wants to Do Is Dance」、デフ・レパードの「Pour Some Sugar on Me」、EMFの「Unbelievable」、キッド・ロック「Cowboy」など、選曲センスも楽しめる内容だ。

物凄い名作ではない。日本では大ヒットはしていないし、誰もが知ってる作品でもない。でも音楽や酒やダンスが好きで、一度でも夢を持って行動したことがある人なら、観たらきっと温かい気持ちになる映画だ。なお、「コヨーテ・アグリー・サルーン」はこの映画の公開後、全米やヨーロッパにも進出した。

予告編


ダイアン・ウォーレンの曲をリアン・ライムスが歌って大ヒット

DVD『コヨーテ・アグリー』

DVD『コヨーテ・アグリー』


*日本公開時チラシ
135844_1
*参考/『コヨーテ・アグリー』パンフレット

評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
名作映画の“あの場面”で流れる“あの曲”を発掘する『TAP the SCENE』のバックナンバーはこちらから

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