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タイムズ・スクエア〜ワイルド・サイドを歩いたNYの少女たち

2019.01.23

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日本(特に東京)の80年代には4つの時代があったと思う。まずは1980〜1982年の「70年代の尻尾」とでもいうべき、前時代の名残や延長ムードがあった時代。そして1983〜1986年の極めてポップな「アーリー・エイティーズ」、1987〜1991年における狂乱の「バブル・エイティーズ」へと流れていき、最後は1992〜1994年頃まで続いた「80年代の幻影」。

この感覚は、1970年前後生まれの世代なら激しく共感してくれるかもしれない。要するに80年代を多感なティーンエイジャーとして何年過ごしたかどうか。多ければ多いほど、このような世界観を分かち合えるのではないか。

*このあたりについては「東京ポップカルチャー・グラフィティ〜時代と世代の物語」(別サイト)で詳しく触れているので、よろしかったら覗いてみてください。

各時代ではティーン向けの良質な青春映画が作られてきた。これは幼すぎても、大人すぎても感動できないジャンルなので、対象となった特定の世代には思い入れのある人も多い。例えば「アーリー・エイティーズ」では『アウトサイダー』という大名作があったし、ジョン・ヒューズの学園映画も登場した。「バブル・エイティーズ」には『レス・ザン・ゼロ』や『いまを生きる』という静かな傑作があった。

そういった意味で『タイムズ・スクエア』(TIMES SQUARE/1980)は、「70年代の尻尾」における青春映画として記憶されるべき作品だろう。この時期に15歳や16歳だった人なら、きっと「リアルタイムで観た」という人もいると思う。残念ながら書き手は「大人になってから観た」ので正直そんなに入り込めなかったが、公開当時もし映画と同じようなミドル・ティーンだったら、想いは違っていたはずだ。

何せサントラが凄い。ラモーンズ、パティ・スミス、トーキング・ヘッズ、スージー・クアトロ、ロキシー・ミュージック、プリテンダーズ、キュアー、XTC、ゲイリー・ニューマン、ジョー・ジャクソン、そしてガーランド・ジェフリーズやルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」まで入っている。ニュー・ウェイヴ中心の選曲がティーンの琴線に触れないわけがない。



プロデューサーは『サタデー・ナイト・フィーバー』『グリース』を手がけたRSOのロバート・スティグウッド。『エンパイア・レコード』などで知られるアラン・モイル監督のデビュー作であり、『ロッキー・ホラー・ショー』のティム・カリーも出演と、音楽的要素の高さは抜群。

しかもこの時代、日本のティーンにとってアメリカの青春模様はまだまだ憧れの対象だったことあり、映画と音楽に“様々な最新情報”を見つけ出すこと必至。青春映画といえば西海岸や田舎町、主人公は少年というイメージが強かった中、本作の舞台はニューヨーク、しかもマンハッタンのタイムズ・スクエアを軸にしたオールロケという点も見逃せない。少女たちが主役だからこそ、新しかった。

物語はパンク・ロック好きのニッキーとお嬢さん育ちで市長の娘パメラ、まったくタイプの異なる二人の少女の出逢い、友情、旅立ちまでを描く。ティム・カリーはDJ役となって少女たちを見守る。ニューヨーク中の悩める少女たちの共感を呼んだニッキーとパメラの言動。クライマックスのタイムズ・スクエアでのゲリラ・ライヴは見どころの一つだ。

予告編


『タイムズ・スクエア』

『タイムズ・スクエア』


*日本公開時チラシ

*参考・引用/『タイムズ・スクエア』パンフレット

評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
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