「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

ミュージックソムリエ

連綿と続くジミヘン流サイケデリック・ブルースの今日

2015.08.03

Pocket
LINEで送る

猛暑でドロドロに溶けている、そんな時におすすめなのがジミヘン流サイケデリック・ブルース。
粘り腰のファズ・ギターでガッツ注入、夏バテ解消です。

ジミ・ヘンドリックスの演奏を実際に浴びることで、最も多くフォロワーが登場していた70年代。
中でもロビン・トロワー、フランク・マリノ、ウリ・ジョン・ロートの三人は、ジミヘン・フォロワーの御三家として有名です。
今回はフランク・マリノをご紹介。

Mahogany Rush/ World Anthem



カナダ出身のハード・ロック・トリオ。初期はジミ・ヘンドリックス直系の粘っこいブルース・ハード・ロックをやっていましたが、本楽曲をタイトルとした1977年作『World Anthem』の頃には、シンセを駆使したスペーシーな楽曲で個性を確立。

この曲は、後にXが『BLUE BLOOD』の冒頭でカバーしたことでご存知の方も多いはず。
御大の「The Star Spangled Banner」(アメリカ国歌)へのリスペクトを込めつつも、エフェクトとシンセの波で圧倒する壮大な楽曲に仕上がっています。宇宙規模に大きなスケールを感じて、暑い暑いと連呼している場合ではないな、と反省。(冷房26度風量強)

80年代、90年代にもジミヘン・フォロワーは出現していたものの、70年代ほどストレートな信奉者が現れませんでした。
ただプリンスやレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、レニー・クラヴィッツなど、黒人音楽とロックを融合しようと試みたミュージシャンには確かにジミ・ヘンドリックスへのリスペクトが感じられます。

Lenny Kravitz/Tunnel Vision

よりソリッドに、よりスマートに進化したサイケデリック・ブルース。1995年4作目『Circus』に収録されている曲です。本作は、レニー・クラヴィッツの諸作品の中でもジミヘン度が高いアルバムだと思います。ファンクとしての粘り気は残しつつ、切れ味鋭いビートが印象的。

そして21世紀。今でもジミ・ヘンドリックス流サイケデリック・ブルースは生き続けているのです。
例えば、ジェスパー・ムンクというミュージシャン。

本家のテンションを受け継いだ、気迫漲るサイケデリック・ブルース。
ドイツ出身で現在22歳である彼は、60年代のブルース・ロックや黒人音楽に夢中。
2011年のデビュー作で、既にブラック・キーズ等と比較されていたジェスパー・ムンク。

今年リリースされたセカンド(当楽曲収録作)『Claim』では複数のプロデューサーを起用しており、ジミ・ヘンドリックス愛を持つジョン・スペンサーも名を連ねています。
「いかにも」な、この楽曲はもちろんジョン・スペンサーによるプロデュース曲。

Jesper Munk/Courage For Love

重厚なブルース・ギターもさることながら、けれん味たっぷりのヴォーカルがカッコイイ。
彼もレニー・クラヴィッツ同様に幅広い音楽性を持っているミュージシャンですが、サイケデリック・ブルースがその入り口となれば、それはそれで素晴らしい。
(GAOHEWGII)

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[ミュージックソムリエ]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ