ミュージックソムリエ

BPMはいらない~自由なテンポで表現する極上ポップサウンドYogee New Wavesの波に乗れ!

2018.04.23

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フリーなテンポ感で、新たなグルーヴを感じさせ、その渦に聴く者を巻き込んでいくYogee New Wavesの音楽。
彼らの音楽が今、多くの若者の支持を集めている。

Yogee New Wavesは、2013年にギター&ヴォーカルの角舘健吾を中心に結成され、翌2014年のデビュー・アルバム『PARAISO』でいきなり注目を浴びた。
その後メンバーの変遷を経て、現在はドラムスの粕谷哲司、ギターの竹村郁哉、ベースの上野恒星の4人で活動中だ。4人ともほぼ1990年前後に生まれた世代である。
2017年にリリースされたセカンド・アルバム『WAVES』は、CDショップ大賞にノミネートされた。
それらの作詞作曲を主に手がけている角舘が、このように語っている。

ベートーベンが“メトロノームは悪魔のものだ”と言っているんですよ。要するに、BPMを決めるのは、音楽を半分以上殺してしまう行為だと。音楽というのはすごく自由なもので、感情によってテンポが変わるのは自然なことだと言ってるんですよね。俺もガキの頃から同じことを思っていたから、その言葉に強く共感したんです。
(~2017年7月 BARKSインタビューより)

BPMとはBeat Per Minute、つまり1分間に刻む拍の数を示す用語であり、テンポの速さを指し示す音楽用語だ。ダンス・ミュージックにおいては、そのテンポによってイメージを決める重要な数値でもある。

しかし、角舘はダンス・ミュージックを否定しているわけではない。むしろ彼らはEDMなどのダンス・ミュージックからも強く影響を受けているし、デビュー・アルバムでは、ダブやレゲエ的な要素も多く含む心地よいダンサブルなポップサウンドが中心となっている。
ただ、もっと自由な表現を求めたら、緩急をつけたフリーなテンポ感が今の彼らの表現には合っていたということだろう。

World Is Mine



また、感情をストレートに表現するあまり、時に恥ずかしくなるような“クサい”言葉で綴られる歌詞が、同世代の若者たちの強い共感を得ているのも事実だ。
緩急をつけたテンポに乗って歌われることで、角舘の綴る言葉がまっすぐ心に届いてくる。

今日は星がとても綺麗だから
ろうそくは消して眠ろうか
少しのジョークがシュガーのかわりに
濃いコーヒーを飲もう

夜に瞬く 君の瞳
星はかがやく 夜のシンフォニー

ああ 見ていておくれ
ぼくのこの傷だらけのたましいが
ごうごうと音をたてて
燃えている 生きている


C.A.M.P.



新宿生まれの新宿育ちである角舘を中心としたYogee New Waves。彼らは様々なメディアにおいて、Suchmosらと並んで次世代のシティポップを担うグループとして注目されている。
R&Bやレゲエ、70年代のAOR~80年代のニューウェーブ、90年代以降のフリーソウルやEDM、さらには山下達郎や松任谷由実、大貫妙子、フィッシュマンズなど、彼ら4人がそれぞれ聴いてきた音楽はとても幅広い。それらのエッセンスを見事に取り入れ、心地よいサウンドを生み出すことに成功していて、まさに極上ポップサウンドと言っていいのではないだろうか。

2018年3月にリリースされたメジャー・デビュー・ミニアルバム『SPRING CAVE e.p.』のレコーディング中に、4人それぞれが聴いていたという音源がSpotifyのプレイリストにて公開されている。彼らの音楽ルーツを知る上でとても興味深い。



「春の洞窟」を意味する『SPRING CAVE』というタイトル。これは光の届かない洞窟の奥に美しい花が咲いていて、そこから毎日100本の花を収穫しては町で売るという、角舘の妄想から生まれたイメージだ。夜の闇の中で曲を作り、陽の当たらないスタジオで美しい音楽を生み出し、外の世界に届けようとする4人の姿がそこに重なる。
Yogeeの音楽が花となって、より多くの人々の元に届けられ、幸せな笑顔が町中に広がれば、それこそが音楽の力と言えるのではないだろうか。

Bloomin’ Days


Yogee New Waves『SPRING CAVE e.p.』
ビクターエンタテインメント


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