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The XX 〜ビートルズの時代から続く「バンド」だからこそ生まれる音楽〜

2018.11.12

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1962年にビートルズがデビューして以降、若者たちが集まり共に音楽を作り出す「バンド」という形態は、世界的なスタンダードになった。

それまでは一人のカリスマ的なシンガーが歌い、後ろでバックバンドが演奏するというスタイルが一般的であった。
しかしビートルズは四人のメンバー全員が歌って演奏するだけでなく、サウンドメイクや楽曲制作にも関わるというスタイルで、数多くのヒット曲を生み出した。

メンバーそれぞれの音楽的な好みや個性が混ざり合い、一体となることによってそれまで誰も聴いたことない、新しい楽曲を作ることができたのである。
ビートルズの登場から50年以上経った今でも、数多のバンドが仲間と共に個性的な歌や新しい音楽を生み出している。
そんな「バンド」であることを生かして、新たなポップスをつくり出しているバンドがThe XXだ。

ギターヴォーカルのロミー、ベースヴォーカルのオリヴァー、キーボーディストでトラックメイカーのジェイミーの三人で活動している彼らは、結成以来ドラマーがいないという特殊な編成だ。
しかし3人のメンバーの個性を混ぜ合わせて独自の音楽を作っているという点において、彼らはれっきとした「バンド」なのである。

ソングライターでもあるジェイミーはこのように語る。

「僕はダンス・ミュージックを聴いていたし、ロミーはパンク、オリヴァーはR&Bを聴いていた。だから、みんな異なる音楽から影響を受けてたんだよ。メンバー全員が好きな音楽を使って曲を作っているから、そういう異なる影響のすべてが反映されている。」
(Sign Mag ジェイミーxxインタビューより)


The XXは2005年にロンドンで結成されたときは、まだ16歳の頃だった

その数年前から親友であった三人は、ギタリストのバリアを加えて、バンドとしての活動を開始したいう。
4人は異なるバックグラウンドを持っていたが、「悲しい音楽」が好きだったというところが共通していた。
ザ・キュアー、ローリン・ヒル、マッシヴ・アタック。
ジャンルは違えど、どこかほの暗く、内省的なものを好んで聴いていたのである。
それは、彼らが生まれ育ったロンドンの気候や風土も影響していたのだろう。

10代にしてメランコリーで内省的な音楽を生み出したのは、The XXにとっては必然であった。
2009年、ファーストアルバム『The XX』をリリースしたのは19歳の時だ。




乾いたシンプルなデジタルビートの上に、ロミーとオリヴァーの表現力に富んだ声と演奏が絡み合った楽曲は、世界の音楽ファンを驚かせた。



その翌年、ポール・ウェラーやコリーヌ・ベイリー・レイなどの名だたるアーティスを抑えて、The XXは英国最大の音楽賞「マーキュリー・プライズ」を受賞する。

バリアが病気により脱退するというアクシデントを経験するも、The XXはその後も精力的に活動を続けた。
そして4年のブランクを経て、2017年に3枚目のアルバム『I See You』によって、彼らはさらなる音楽的な高みに到達した。




そこには今までの内省的な美しさに加えて、ヒップホップや最新系のクラブミュージックの影響下にあるサウンドや、開放的なメロディが光る楽曲が多く収録されている。



4年の間、ロミーはソングライター、オリヴァーはモデル、ジェイミーはDJとして、それぞれ異なる世界を見てきたのだという。
その影響が一つの音楽として結実したことによって、今までよりも自由で開放的な音が生まれたのだ。


アルバムは世界8か国で一位を獲得し、彼らは世界的な人気を獲得した。
お互いの影響を取り入れながら、一つの音楽を作り出すThe XX。
ビートルズによって生まれたバンド音楽ならではの魅力を、現代において最も体現しているのは彼らなのかもしれない。

(文・吉田ボブ)


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