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今もなお唯一無二の個性が光るTOKYO No,1 SOUL SET

2018.11.19

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2017年、全米の音楽販売総数でヒップホップ/R&Bがロックを上回り、2018年も順調にその数を伸ばしているという。
日本でもラップやヒップホップが音楽シーンに登場してから約30年が経ち、今では一つの音楽ジャンルとして人気を確立している。
そんなヒップホップシーンの中でも、未だに唯一無二の個性を放ち続けているのが、TOKYO No.1 SOUL SETではないだろうか。

1990年頃に結成され、1994年にメジャーデビューしたTOKYO No.1 SOUL SETは、DJでトラック・メイキングを担当する川辺ヒロシ、ギター&ヴォーカルでメロディー・メイカーの渡辺俊美、そして作詞とヴォーカル(ラップ)を担当するBIKKEの3人からなるグループだ。

ヒップホップのグループといえば、主にDJを担当する者とMC(ラップ)を担当する者がいて、3人組となると例えばスチャダラパーのように、1DJに2MCのスタイルが多いだろう。
TOKYO No,1 SOUL SETは、DJとギタリストとMCの3人組という特殊なスタイルもさながら、音楽性もヒップホップというジャンルにひとくくりにできない個性が光る。

中でもBIKKEによって書かれる日本語の詞が、文学的で韻をふまないのが特徴的だ。語りかけるようなラップのスタイルは、まるでポエトリー・リーディングのようにも聞こえる。
BIKKEは、高校生時代に三島由紀夫の文学作品をたくさん読んだという。
そんな影響がとても強く感じられるのが、1995年に発売されたシングル曲「黄昏’95~太陽の季節」だ。

僕らはそもそも昼に生きるのか
そうでなければ何故昼は
太陽の光で注意を引き
たちまち僕らの目を眩ませて
輝きたいと思わせるのか
より高く、もっとより高く
空想よりもっと高くと
たえず光源へとおびき寄せる


この曲では1971年のアイズレー・ブラザーズのアルバム『Givin’ It Back』に収録されている「Love the One You’re With」が、サンプリングに使われている。スティーヴン・スティルスの楽曲をアイズレー・ブラザーズがカヴァーしたもので、この曲を使用した楽曲の構成といい、センスの光る1曲だ。

黄昏’95~太陽の季節



1998年に発売されたシングル曲「夜明け前」は、渡辺俊美の歌がメインにフィーチャーされていて、彼らにとって最もヒットした楽曲でもある。
サンプリングには、アラン・トゥーサンの1975年のアルバム『Southern Nights』に収録されている「You Will Not Lose」が使用され、孤独な夜の街を彷徨うような、独特の雰囲気を醸し出している。

夜明け前


この「夜明け前」が収録されたアルバム『99/9』を最後に、しばらく活動を休止していた彼らだが、2004年から活動を再開し、今も変わらないスタイルで音楽活動を続けている。

川辺ヒロシのセンスが光るサンプリングと、BIKKEが綴る文学的な詞を、渡辺俊美がさりげなく心地よいメロディーでつないでいく。
3人それぞれのセンスが集結して生み出されるTOKYO No.1 SOUL SETの音楽には、ヒップホップのファンだけでなく、幅広い音楽ファンにアピールする魅力が今もあるのではないだろうか。

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