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踊れるロックンロールでロックの原点を表現するバンド、フランツ・フェルディナンド

2018.11.26

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「ロックンロール」という言葉の名付け親は、ムーンライト・グラハムというラジオ曲のDJだとも言われているる。
彼はレコードショップで白人の若者がチャック・ベリーを聴いて踊っている光景を目の当たりにし、自身のラジオで彼らの音楽を流し始めたという。
ロックンロールはギターリフやシャウトによって人々の心を震わせ、そして踊らせることによって人々の間で広まっていった。

耳にした途端に思わず体を揺らしてしまうようなロックンロールの原点を、2000年代に新たな形で復活させたバンドがフランツ・フェルディナンドだ。

スコットランドのグラスゴーで生まれ、幼い頃からビートルズやクイーンを聴いていたヴォーカルのアレックスは、地元グラスゴーにある大学の友人とバンドを結成する。

「グラスゴー出身の人は、自分の野望を求めることを恐れていない。どんなことにでも挑戦するんだ。」
(『Daily Mirror』紙 アレックスのインタビュー)


アレックスの言葉にあった通り、4人は全員が新たな音楽を作り出したいという野望に溢れていた。
彼らはまず、自分たちのやりたい音楽の方向性を話しあったという。
その中でキーワードとして出てきたのが「女の子が踊れる音楽」であった。

当時のロックシーンは、ガレージロック・リヴァイバルブームに沸いていた。
ホワイト・ストライプスやストロークス、リバティーンズといった、無骨で骨太なギターサウンドを鳴らすバンドがほとんどであった。
そのようなことから彼らと同世代の若者たちは、ロックンロールを踊れる音楽として認識していなかったのだ。

フランツ・フェルディナンドのメンバーは、踊れるようなグルーヴを鳴らすロックンロールを追求していく。
ロックのサウンドでありながらも開放感のある音を鳴らす彼らの音楽は、スコットランドのライヴハウスで話題を呼んでいった。

さらにはデビュー前にもかかわらず、イギリスの有名音楽誌「NME」の表紙に起用されたが、その見出しには「あなたの人生を変えるバンド」という言葉が躍っていた。
これはフランツ・フェルディナンドが鳴らす新たなロックンロールに向けた、NMEから最大級の賛辞であったのだ。

彼らはその言葉と期待に期待に応えるように、ファーストアルバム『フランツ・フェルディナンド』を2003年にリリースした。




そこに収録された「Take Me Out」は、彼らが目指した「女の子が踊れる音楽」の一つの完成系だ。



ビートルズやクイーンのような切なさを感じさせるメロディと、グルーヴィーな演奏を融合させたロックは、それまでの音楽とは違う新しさを醸し出していた。
さらには前半のアップビートな演奏から、後半では四つ打ちのリズムに変わるという構成に、多くの音楽ファンは驚いた。

そして「踊れる音楽」を合言葉にしながらも自由な発想で、セッションを行ったことから生み出された楽曲たちが、全英チャートの一位を記録する。
60年前のロックンロールがそうであったように、彼らはイギリス中の若者を踊らせる音楽を作ったのである。

デビューから15年経った今でもフランツ・フェルディナンドは自由な発想で新たな音楽を作り続けている。
メンバーの脱退と加入を経て、5人体制になった彼らは、2018年にアルバム『オールウェイズ・アセンディング』をリリースする。
新メンバーのジュリアンは作品について、このように語る。

「『オールウェイズ・アセンディング』は僕たちみんなが目指していたアルバムで、ダンスフロア向けの、もう少しシンセを押し出したものにしたかったんだ。」

「現代的なプロダクションとテクニックのバランスをとりつつも、一つの部屋で一緒に演奏しているライヴバンドのエネルギーと自然発生的な部分もキープしたかった」(ジュリアン)


彼の言葉の通り、今までのフランツ・フェルディナンドの魅力であるグルーヴ感に溢れたバンドサウンドに、80年代のポップスを想起させるようなシンセサイザーや最新系のエレクトロミュージックに通じるようなビートが加わった楽曲が並んだ。



それらはデビュー当時と変わらなぬ野心と自由な発想を感じさせる。

「僕たちは常に自分たち自身やオーディエンスを駆り立てていきたいんだ。あくまでも複雑にするのではなく、ただ新しいことに挑戦したい」

彼らはデビューから15年を経て、新たな「踊れるロックンロール」の可能性を提示したのである。

(文・吉田ボブ)




Hostess Club Presents…
Franz Ferdinand
With Support Act Rats on Rafts


最新作『オールウェイズ・アセンディング』をリリースしMUSIC STATIONにも出演!新生フランツ・フェルディナンドによる待望のジャパンツアーが開催決定!オランダ発!フランツの秘蔵っ子、ラッツ・オン・ラフツがサポートアクトとして登場!

2018/11/27(火)東京・国際フォーラムA
Open 18:00 / Start 19:00
Ticket:¥7,500(税込 / 全席指定)

2018/11/28(水)大阪・Zepp Bayside
Open 18:00 / Start 19:00
Ticket:
¥7,500(税込 / ドリンク代別途 / オールスタンディング)
¥7,900(税込 / ドリンク代別途 / 2F指定席)

※サポートアクトの出演によるフランツ・フェルディナンドの演奏時間に変更はありません。

公演オフィシャルサイトはこちら

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