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今海外でも注目を集めるニュー・エキサイト・オンナバンドCHAIの魅力

2019.08.26

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コンプレックスはアートなり!

力強いメッセージと演奏で海外からも熱い視線を集めているCHAI(チャイ)は、ヴォーカル&キーボードのマナと、ヴォーカル&ギターのカナという双子に、ドラム&コーラスのユナと、ベース&コーラスのユウキからなる名古屋出身の4人組だ。
作曲はマナが、作詞はユウキが主に担当していて、ユウキはアルバム・ジャケットなどのイラストも担当している。

2016年にリリースされた1st EPに収録の「ぎゃらんぶー」は、いきなりSpotifyのUKチャートTOP50以内にランクイン、翌2017年にはアメリカの音楽祭SXSWへの出演と全米ツアーを果たし、10月には待望の1stアルバム『PINK』をリリースする。

2018年には、今世界で話題となっているSuperorganismのUKツアーにサポート・アクトとして参加し、その他にも海外のフェスやイベントなどに数多く出演した。
そして2019年にリリースされた2ndアルバム『PUNK』は、アメリカやイギリスのレーベルからもリリースされるなど、海外でも人気急上昇中だ。

そんな彼女たちの魅力を、今回は5つのキーワードから紐解いてみたい。


①「NEOカワイイ」

目がパッチリ大きくて鼻が高く、手足が細く長くてボンキュッボンのナイスバディな女の子が「かわいい」という今の日本の価値観を変えたい、それがCHAIの願いだ。
「NEOカワイイ」は、どんなコンプレックスも個性だから、そのままの自分を認めてあげようという彼女たちのメッセージから生まれた言葉だという。
CHAIの4人もそれぞれにコンプレックスを持っていて、自分たちが完璧でないからこそ「NEOカワイイ」を提唱することができるんだと語る。
勇気を持って発信される彼女たちの力強いメッセージが今、国境を越えて多くの共感を得ているのだ。

「N.E.O.」



②「NEO – ニュー・エキサイト・オンナバンド」

「ガールズバンドは(演奏が)上手くない」という偏見や、上手くなくても構わないという女子のバンドに対する世間の見方を覆したい、だから彼女たちはガールズバンドではなく自分たちのことを「オンナバンド」と標榜する。
音で身体を痺れさせたいと語るくらい、ユウキとユナが繰り出すリズムは男子顔負けの骨太で強力だ。そこにカナの変幻自在なギターが絡み、キュートなマナとカナのヴォーカルをパワフルな演奏がぐんぐんと引っ張っていく。
彼女たちを甘く見てるとガツンとやられてしまう、そんな迫力ある演奏もCHAIの大きな魅力だ。



③「無敵の世界3位を目指します」

アルバム『PINK』が、アメリカの音楽サイトPitchforkの選ぶ「The Best Rock Album 2018」に選出されたり、イギリスの新聞社The Guardianの「Best New Music 2019」に選出されるなど、CHAIは海外のメディアから高い評価を得ている。
早くから世界を見据えて活動している彼女たちだが、入れ替わりの激しい1位ではなく、ずっと長く3位の位置に居続けられる存在を目指しているという、しっかり地に足のついた発言が頼もしい。

時代に影響されない、一発屋にならない、ずっと更新し続ける存在。そういう意味で、私たちが目指すのは世界3位なんです。(ユウキ)



④「夢はグラミー賞!」

骨太でパワフルな演奏、力強いメッセージ、だけど時に破茶滅茶な歌詞もあり、ポップでユーモアもあるのがCHAIの魅力。「グラミー賞を獲りたい!」と語る彼女たちの夢は大きく、「NEOカワイイ」を世界中に浸透させて、ぜひグラミー賞を狙ってほしい。

Live「ぎゃらんぶー」



⑤「PUNK」

海外のメディアではCHAIを「Japanese Punk Band」と紹介していることが多い。
音楽サイトのPitchforkは、「The Best Rock Album 2018』に『PINK』を選出したとき、彼女たちの音楽を「遊び心あるフェミニストなパンク精神」と記述している。
当の彼女たちは自分たちの音楽はパンクではないと思っていた。しかし、彼女たちの伝えたいことや精神性がパンクだと言われていることを知ってからは、パンクを意識し始めたという。
そこで2ndアルバムは自分たちのパンクを提示する意味で『PUNK』となった。



CHAIの“PUNK”は闘ったり壊したりするのではなく「新しい自分を作っていく」ことだという。
強いメッセージでも、情念に訴えかけるようなウェットさは微塵もなく、元気ハツラツでコンプレックスを笑い飛ばすような、あっけらかんとしたドライなユーモアとポジティブさがCHAIの最大の魅力ではないだろうか。
NEOカワイイ、エキサイティングなオンナバンドCHAIの今後に目が離せない。

「Choose Go!」


「N.E.O.」〜Fuji Rock Festival ‘18


CHAIオフィシャルサイト


参考文献および引用元:
「ぽっこりお腹もアートだよ」奔放バンド・CHAIと古着屋を巡る~CINRA.NET 2016年11月CHAIインタビュー
CHAIは世の中にPUNKを掲げる。皆がなりたい自分になれるように~CINRA.NET 2019年2月CHAIインタビュー


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