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ビートルズとマイケル・ジャクソンから新しいロックンロールのヒントを得たTRICERATOPS

2019.09.02

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1997年にデビューして以降、今なお精力的に活動している3ピースロックバンドTRICERATOPS。
骨太なロックンロールでありながら、ダンサブルなディスコサウンドを鳴らすバンドとして音楽シーンに衝撃を与えた。

小田和正は自身のテレビ番組「クリスマスの約束」で共演した時、TRICERATOPSのフロントマンである和田唱をこのように評した。

「ビートルズの産湯に浸かり、マイケル・ジャクソンを子守唄にして育った男」


その言葉の通り、彼の原点にはマイケル・ジャクソンの革新的でダンサブルなR&Bとビートルズのような普遍性のあるロックンロールがある。

1975年に東京で生まれた和田は、幼少期から映画や音楽に囲まれて過ごした。とりわけ、小学生の時に観たマイケル・ジャクソンの「スリラー」のミュージックビデオは彼に大きな衝撃を与えた。



マイケルの圧倒的なスター性に心を奪われた彼は、ビデオを見てはその姿と歌を観て真似していたという。和田がビートルズに興味を持ったのもマイケルの影響だ。
1988年に公開されたマイケル主演の映画『ムーンウォーカー』で、ビートルズの「Come Together」をカバーしていたのである。


「俺は当時マイケルが一番だと思っていて、そのマイケルが尊敬する人たちなんだからもっとすごいんじゃないかと思って、ビートルズも大ファンになりました。」
(WASEDA LINKS Vol.33 インタビューより)



「マイケルが尊敬している人」としてビートルズを知った和田だが、とりわけポール・マッカートニーの作り出すポップなメロディと多彩なロックンロールに魅了されていく。

「(ポールもマイケルも)両極端なことができる人なんですよ。すごく激しいシャウトもできれば、これ以上ないくらい甘くも歌える」
(ROCKIN’ON JAPAN 1999年9月号 インタビューより)


やがて彼は、中学生になり周囲の影響でギターを独学で勉強するようになる。しかし、中学と高校には和田が好きなロックンロールやブルースを好む友人があまりいなかったため、本格的にバンドを始めたのは大学生の時だった。
友人に紹介され出会ったベーシストの林幸治とドラマーの吉田佳史の演奏に惹かれた彼は、3ピースバンドTRICERATOPSを結成する。
3人が目指したものは、まだ誰もやっていないスタイルでの「踊れるロックンロール」であった。

「九〇年代のロックはイメージが弱くて、ヒップホップとかクラブミュージックの方がかっこよくて楽しいと思われていたんです。しかもそこではライブ会場の全員が踊っているのに、ロックバンドの観客は踊っていなくて堅苦しい。でもロックも元々楽しく踊れるものだったんです。だから俺たちはヒップホップやクラブミュージックのあの楽しい感じをバンドでやろうと思って、3人だけのロックなサウンドだけど、みんなが踊れる音楽を作っていったんです。」
(WASEDA LINKS Vol.33 インタビューより)


ロックンロールが持つ本来の楽しさを彼らは取り戻そうとしたのである。
そうして出来上がったのは、3人だけのソリッドで骨太なサウンドでマイケルのようなディスコソングをやるということであった。
そうして完成したのがデビュー曲である「Rapsberry」である。



Rapsberry 踊ろうよ
全て忘れ 身を委ねて
Rapsberry 踊ろうよ
それで全て 上手くいく


ディスコの四つ打ちのリズムに合わせて奏でられるダンサブルなギターリフとベースの強靭なグルーヴ。
そして肯定感に満ち溢れた言葉とメロディによって、今までのロックンロールとは全く異なるものを生み出したのである。

革新的なロックンロールを生み出した彼らは、若いファンだけでなく佐野元春のようなベテランミュージシャンからの賞賛を受けた。
そして、デビューから2年で武道館公演を成功させるまでのバンドへと成長していった。やがて彼らが生み出した四つ打ちのロックンロールは、日本の音楽シーンの一つのスタンダードになっていく。
マイケルやポールのように革新的なスタイルで荒々しくもポップな音楽をTRICERATOPSは生み出したのである。


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