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西城秀樹がカヴァーした作品から知る洋楽のスタンダード曲③~キング・クリムゾンの「エピタフ」

2019.12.13

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1968年に結成されたキング・クリムゾンはアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』で1969年にデビューした。

プログレッシブ・ロックを確立させた初期のキング・クリムゾンは、アメリカに生まれたロックンロールを起点にして、クラシックやジャズの要素を取り入れることで、ロックを大きく発展させることに貢献した。

しかしリーダーのロバート・フリップがそれ以降、バンドのメンバー・チェンジを繰り返していったことなどから、音楽性は時代によって変化している。

『クリムゾン・キングの宮殿』のA面3曲目に入っていた「エピタフ(墓碑銘)」は、8分49秒にも及ぶ大作だったので時間が長過ぎることから、シングル・カットはされていなかった。
しかし当時からファンの間ではスケール感があって、幻想的なメロディや世界観の人気が高く、初期のキング・クリムゾンにとってのみならず、プログレッシブ・ロックの代表曲になっていった。



キング・クリムゾンのファースト・アルバムはその当時から、熱心な洋楽ファンの間ではかなり注目されていた。
なにしろタイトルが墓碑銘であったし、歌詞のなかでも明らかに「死」の世界や、この世の悲劇にも言及しているのが確かだった。

当時はカウンターカルチャーの時代だったこともあって、日本のリスナーにもテーマとしては身近に感じられたに違いない

「預言者が言葉を残した壁が継ぎ目から崩れていく」という歌い出しの歌詞からして、曲が始まった瞬間に、早くも終末感が漂ってくる展開になっていた。

また強烈なヴィジュアルによるイラストのジャケットも、リスナーの想像力を大いに刺激するものであっただろう。




この有名な曲を自分のものにして、1970年代の後楽園球場のライブでカヴァーしたのが、日本に生まれた“ロックの申し子”ともいえる西城秀樹だ。

1979年に出た2枚組のライブ・アルバム『BIG GAME ’79 HIDEKI』に収められた「エピタフ」は、激しい雨にみまわれながらも、雷鳴が轟く中で決行されたことで、この日のハイライトになっていった。

コンディションが最悪に近い状態であったことは容易に想像できる。
実際に、ライブ音源が使えない曲もあって、アルバム収録のために2曲ほど、スタジオで追加レコーディングを行ったという。

だがシンプルで武骨とさえいえる「エピタフ」歌と演奏は、完全にひとつに一体化していて、この日にしか表現できない領域にまで達していた。

それこそが西城秀樹というアーティストが持つ底力なのである。
この貴重なライブ音源からしか伝わってこない魅力は、ほんものの音楽による素晴らしい瞬間が記録されていたから、後世に残ったのである。




ちなみにこの日、西城秀樹が「エピタフ」の前に唄っていたのは、クイーンが1979年に放った最新のヒット曲「ドント・ストップ・ミー・ナウ」だ。
もっといえば、オープニングも1977年に発表したクイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー 」だったのである。

本人もスタッフもロックが心から好きで、しかも勉強熱心だったのからこそ、積極的に洋楽をライブで取りあげていたことがよくわかる。


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