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シンプルゆえに生命力の長い歌、吉田拓郎「今日までそして明日から」

2015.01.02

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1970年11月に吉田拓郎が発表した1stアルバム『青春の詩』に収録されていた「今日までそして明日から」は、シンプルであるがゆえに生命力の長い歌だ。

わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかの力をかりて
時にはだれかにしがみついて
わたしは今日まで生きてみました
そして今 わたしは思っています
明日からもこうして生きて行くだろうと


1971年7月21日にインディーズのエレックから出たシングル盤は、話題作としてプロモーションされたが大きなヒットにはならなかった。
ただラジオの深夜放送では、若者たちから高い支持を受けていた。

メジャーのCBSソニーに移籍して「結婚しようよ」が大ヒット、吉田拓郎の人気が沸騰したのは1972年のことだった。
続いて7月に発売された「旅の宿」は、ヒットチャートの1位に輝いた。

そんな時期に「今日までそして明日から」は、映画『旅の重さ』の劇中歌に使われることになった。
これがデビューとなった新人女優の高橋洋子が主演する『旅の重さ』は10月28日の公開で、「旅の宿」がヒット中という最高のタイミングだった。

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スチール・カメラマン出身で映像美に定評がある斎藤耕一監督の作品の代表作と言われた『旅の重さ』は、母親との葛藤から家出をした16歳の少女が自分の生き方を見つける物語だ。

「ママ、びっくりしないで。泣かないで、落着いてね。そう、私は旅に出たの。ただの家出じやないの。お遍路さんのように、歩きながら四国を旅しようと出て来たの・・・」


全編を通して映し出される緑がいっぱいで生命力に溢れる四国の映像、ヒロインの高橋洋子が放っている躍動感や輝きは、「今日までそして明日から」ともマッチングしていたのだった。

わたしにはわたしの生き方がある
それはおそらく自分というものを
知るところから始まるものでしょう

けれど それにしたって
どこで どう変ってしまうか
そうです わからないまま生きてゆく
明日からの そんなわたしです


吉田拓郎は1980年代、90年代と「今日までそして明日から」をステージで歌い続けてきた。

21世紀になって新たに次世代の人たちに歌が発見されたのも、やはり映画のエンディングに使われたことによってである。

クレヨンしんちゃんの劇場版アニメ映画『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』は、内容にふさわしい選曲だと公開当時から評判になった。
こうして吉田拓郎のメッセージは、2001年から再び広く伝わっていく。


2006年9月23日、31年振りに一夜限りの復活を遂げた伝説の「つま恋コンサート」で、吉田拓郎が最後の曲に選んだのは「今日までそして明日から」だった。

24歳のときに書いたフレーズを、60歳の吉田拓郎は瀬尾一三が指揮するビッグバンドをバックに歌った。

3万5000人の観客と一緒にくりかえしくりかえし歌った「今日までそして明日から」は、ビッグイベントを締めくくるにふさわしいクライマックスとなった

わたしは今日まで生きてみました
わたしは今日まで生きてみました
わたしは今日まで生きてみました
わたしは今日まで生きてみました
そして今 わたしは思っています
明日からもこうして 生きてゆくだろうと



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