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「レッキング・クルー」①~モンキーズの音楽を支えていた腕利きのスタジオ・ミュージシャンたち

2016.01.01

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その演奏は誰もが聴いて知っているのに名前はほとんど知られてはいない、そんな腕利きのスタジオ・ミュージシャンたちが、1960年代から70年代にかけてアメリカ西海岸のロスアンゼルスを中心に活躍した。

プロデューサーのフィル・スペクターは1961年にフィレス・レコードを立ち上げたとき、自分の頭の中に鳴っている音を実現するために、優秀なアレンジャーとエンジニアを引き抜き、若くて一流のプレイヤーたちを集めた。

フィル・スペクターのレコーディングでは、彼がイメージしている音とサウンドが一致するまで、同じフレーズを何度も何度も繰り返させてOKテイクを録音していく。

wrecking-crewフィル・スペクター

しかもスコアはおおまかなものだったので、現場でミュージシャンたちはアイディアを要求された。
それに応えられる実力やセンスを持った者だけが残り、必然的にメンバーは限られていくことになる。

彼らはフランク・シナトラからエルヴィス・プレスリー、ビーチ・ボーイズ、ザ・バーズ、ソニー&シェール、ナンシー・シナトラ、ママス&パパス、サイモン&ガーファンクル、フィフス・ディメンションなど、ジャンルの壁をこえてレコーディングをおこなった。

ドラムにはハル・ブレインやジム・ゴードン、キーボードにラリー・ネクテルやレオン・ラッセル、ギタリストにグレン・キャンベルやドクター・ジョン、ベーシストにキャロル・ケイやジョー・オズボーンと、多数のメンバーが存在していた。

のちに彼らは自分たちのことを「レッキング・クルー(The Wrecking Crew)」と呼んだ。
命名者はドラマーのハル・ブレイン。

「アイ・アム・ア・ビリーバー」や「デイドリーム・ビリーバー」に代表されるモンキーズのヒット曲も、その大半を演奏していたのはレッキングクルーの面々だ。

「デイドリーム・ビリーバー」モンキーズ



そもそもモンキーズはバンドではない。
大手音楽出版社「スクリーン・ジェムス・ミュージック」のドン・カーシュナーが、イギリスから登場してアメリカを席巻したビートルズに対抗するために、テレビ番組用に作り上げたグループだ。

そのオーディションに合格したのはディビー・ジョーンズ、ピーター・トーク、マイク・ネスミス、ミッキー・ドレンツの4人。
ただし、まともに楽器を弾けたのはマイクだけだった。

モンキーズの演奏

したがってデビュー曲の「恋の終列車」からヒット曲を量産したモンキーズのバックには、若くて優秀なソングライターたちとレッキングクルーの面々が控えていた。
モンキーズのミッキー・ドレンツは、映画の中でこう語っている。

「本当に腕が良くて甘えが一切なかった だから重宝されたんだ」


フィル・スペクターのレコーディング・セッションでは、ハル・ブレインやラリー・ネクテルを筆頭にレッキング・クルーのメンバーが参加して、かの有名なウォール・オブ・サウンド(Wall Of Sound)を作り上げた。

ハル・ブレインはフィルの名曲「ビー・マイ・ベイビー」(歌:ロネッツ)で、ポップス史上に残る屈指のイントロとされるドラムを叩いた。

多芸なラリー•ネクテルはキーボードとベースをこなし、サイモンとガーファンクルの名曲「明日に架ける橋」のイントロのピアノが有名だ。

アメリカのオフィシャル・サイトのディスコグラフィによれば、ラリーは1stアルバムの『モンキーズ(Monkees)』ではベースを、2ndアルバム『モア・オブ・ザ・モンキーズ(More Of The Monkees)』ではオルガンを弾いていたと記されている。

そんな彼らの活動をモチーフとしたドキュメンタリー・フィルムが、2月13日より日本で公開される。


モンキーズは日本でもデビュー直後から、とくに女の子たちに人気があった。
ちなみに日本のモンキーズ・ファンクラブが公募して結成されたバンドが、1968年8月にデビューしたGSのザ・フローラルである。

ここから細野晴臣と松本隆が脱退して結成したのが、日本語のロックを確立させるはっぴいえんどだ。

<参照・GSのザ・フローラルからエイプリル・フールを経てはっぴいえんどへ至る道

モンキーズのリバイバル・ブームが日本で巻き起こったのは解散して10年が過ぎた1980年のことで、コダックのCMで「デイドリーム・ビリーバー」が使われたことがきっかけだった。
その後は忌野清志郎の日本語によるカヴァーが、今でもセブンイレブンではCMに使われてスタンダードになっている。

<参照・日本でスタンダードになった、日本語のデイドリーム・ビリーバー



「ビー・マイ・ベイビー」ロネッツ








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