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キャンディーズに提供した「やさしい悪魔」をすぐにセルフ・カヴァーした吉田拓郎

2016.04.29

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1977年4月21日に発売になったLP『キャンディーズ 1 1/2〜やさしい悪魔〜』の帯には、「拓郎、ビートルズからラン・スー・ミキまで 話題の特別企画」というコピーがついていた。
吉田拓郎によるヒット曲の「やさしい悪魔」のほか、ビートルズなど洋楽のカヴァー曲、メンバーが作詞・作曲に挑戦した楽曲が入った内容だったからである。


全国のキャンディーズ・ファンの間に衝撃が走ったのはその年の7月17日で、彼女たちは日比谷野外音楽堂のコンサートの最後に涙を流しながら突然の解散宣言を行った。

そんなキャンディーズにとって、解散宣言を発表する以前に最も売り上げがあったヒット曲が「やさしい悪魔」だった。

悪魔が忍び寄って来るかのような靴音が印象的なイントロの曲だが、これはキャンディーズが所属していた渡辺プロダクションの渡辺晋社長が、「3人を大人にしてくれ」と作詞家の喜多條忠に頼んだことで誕生したと言い伝えられている。

「全面的に任せる」と言われた喜多條はその場で、「網タイツ姿で歌わせてもいいか」とダメ元で提案したという。
ところが渡辺晋から「構わないと言われて驚いた」と、後に振り返っている。

そうしたエグゼクティブ・プロデューサーの要望に応えて出来上がった歌詞だったから、確かにそれまでとは違う雰囲気を醸し出すものとなった。

あの人は悪魔
私をとりこにする
やさしい悪魔
レースのカーテンに
あの人の影が映ったら
私の心は もう動けない
Uh ふたりの影はやがて
ひとつのWohWohWoh
燃える シルエット
Ahh DEVIL
MY SWEET LITTLE DEVIL
Woo やさしい悪魔
Ahh DEVIL
MY SWEET LITTLE DEVIL
Woo やさしい悪魔


作曲を手がけた吉田拓郎のリズムとメロディーもまた、歌謡曲の職業作家と比べるとどこか違いを感じさせるものになった。
特に「🎵あの人は悪魔(Ahh)私をとりこにする(Woo)」と語尾を強調する歌い方や、「🎵(Woo) ふたりの影はやがて ひとつの(WohWohWoh)」という譜割りには、ロカビリー全盛時代のポップスや「上を向いて歩こう」にも通じる懐かしさがあった。

洋楽やロック、フォークを好む高校生や大学生から大人にまでキャンディーズのファン層が広がったのは、そんなところにも要因があったのだろう。
その当時に人気が爆発していたピンク・レディーが、ヒット曲を出すごとにファン層が低年齢化していったのとは対照的だった。
「3人を大人にしてくれ」という渡辺晋の希望は、こうして叶ったのだった。



しかし、斬新さを打ち出したために歌唱の難易度が高く、レコーディングでの歌入れは難航したという。
吉田拓郎もオケ録りのときから、イントロの靴音を録音する際に様々な靴で何度も試行錯誤するなど、サウンドへのこだわりを見せた。

これは1972年に大ヒットした「結婚しようよ」のときに、プロデュースを引き受けた加藤和彦がイスを叩いて鳴らした音を、効果的に使ったのを目の当たりにして、「目からウロコでした。パッ、と目の前の音楽観が広がった」と語った体験につながるエピソードだ。

(参照コラム・吉田拓郎が”音楽の師匠”と呼ぶ加藤和彦との出会いから生まれたヒット曲「結婚しようよ」

ギター持参でスタジオに入った吉田拓郎は付きっきりで歌唱指導したが、各メンバーの力を存分に引き出そうとしたことで、コンディションのすぐれなかった伊藤蘭が泣き出すシーンもあったという。

しかしその厳しさがあったからこそ、美しいハーモニーとごきげんなビート感がマッチングした仕上がりになったのだろう。
このときの吉田拓郎は単なる作曲家としてだけでなく、プロデューサー的な関わりを意識していたと思われる。

「やさしい悪魔」がヒットしていた1977年4月25日、吉田拓郎は他の歌手への提供曲などをセルフ・カヴァーした楽曲を中心に、石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」や郷ひろみの「よろしく哀愁」なども唄ったアルバム『ぷらいべえと』を発売する。

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そこには加藤和彦の代表作「悲しくてやりきれない」とともに、キャンディーズの「やさしい悪魔」もしっかりと収められていた。
キャンディーズのアレンジとは雰囲気が違って、ここではシンプルなギターサウンドでサッパリとした感じで歌っている。

そしてアルバムのジャケットを飾ったのは、吉田拓郎自身が描いた伊藤蘭の絵だった。

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