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ブラジルで新たな一歩を踏み出した「上を向いて歩こう~オーリャ・プロ・セウ(Olha pro céu)」

2016.11.28

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2016年7月29日の金曜日と30日の土曜日、リオデジャネイロ市の中心部にある「VIVO RIO」では、『上を向いて歩こう~Olha pro céu~(オーリャ・プロ・セウ)』が2日間に渡って、日本の国際交流基金の主催で開催された。

コンサートのタイトルにもなった「Olha pro céu(オーリャ・プロ・セウ)」は、ブラジルで人気を誇るラッパーのエミシーダ(Emicida)と東京スカパラダイスオーケストラが、新たな解釈でレコーディングした楽曲に由来する。

「上を向いて歩こう」という曲は、日本人にとってすごく大事な曲です。
気持ちの上で落ち込んだ時に、歯を食いしばってでも、ニコニコしてでも、がんばって行こうって‥、青年の気持ちでね。
アメリカで1位になったときに、日本人にもできるんだと勇気を与えてくれた。
そんな希望のメッセージが含まれているし、普遍性があるから新しい世代にも受け継がれてきた。


これはリオデジャネイロで7月27日の夜、バリトン・サックスの谷中敦がブラジルの雑誌の取材に答えて語った言葉だ。

また今、日本はたいへんな時期を迎えている。
作詞した永六輔さんは先ごろ亡くなられましたが、今こそこの曲のメッセージが、必要なんだと思う。
そういう大切な思いを今回、エミシーダがしっかり受けとめて歌詞を書いてくれた。
そのことに、ほんとうに感謝しています。


スカパラのメンバーたちもその発言には、何度も頷いていたのが印象的だった。

その日の新聞「Jornal O Globo」の文化面には、スカパラのインタビュー記事が大きく載った。

新聞にスカパラが

エミシーダが書いた「Olha pro céu」のリリックは、坂本九が歌ったオリジナルの「上を向いて歩こう」の歌詞に、最大限のリスペクトを込めて書き下ろしたものだ。
冒頭に紹介した谷中が語ったように、そこには作詞家の永六輔が歌に込めた思いが、碓かに受け継がれている。

「Olha pro céu(オーリャ・プロ・セウ)」

涙がこぼれないように
空を見上げて
微笑むことができない
罪人のように
春の思い出が蘇る
孤独はここにあり 
星が涙でにじむ
夜明けのマントが
すべてを飲み込む
地面のない場所をどう歩こう

そこは悲しみの深淵
この地は生き残ることがアート
心臓はさらに高鳴る
雲で曇らせられようとも
幸せを探し求める
熱いアスファルトと寒さの中で
前に前に進もう
そしてすぐ皆は気づくだろう
夏の光に包まれていることを

焦るな 担いでいるのは泥で出来た聖人像
神は毛布に見合った寒さを与える


夜8時50分、ワインやビールでほどよくくつろいだ雰囲気の会場は、照明が落ちて暗くなった。

すると場内の大型モニターに坂本九のレコード・ジャケットが映されて、オリジナルの「上を向いて歩こう」が1コーラス流れた。
続いてイギリスのオリー・マーズが2015年に発表した英語版の「上を向いて歩こう」、オノ・ヨーコさんの訳詞による「LOOK AT THE SKY」がCMヴァージョンで2分ほど紹介される。

そこからスカパラとエミシーダがレコーディングした時の映像に切り替わり、「Olha pro céu(オーリャ・プロ・セウ)」がフェードアウトしてステージの幕が開いた。

マルシアが「上を向いて歩こう」をポルトガル語に訳した「Olhando pra cima」を、ア・カペラで歌ってコンサートが始まった。

ここまでで、すでに4種類の異なる「上を向いて歩こう」が、観客に届けられたことになる。

第1部はヴァネッサ・ダ・マタのライブだったが、半分以上の曲で聴衆が合唱する盛り上がりとなり、最後はエミシーダを呼び込んで、二人がデュエットしたヒット曲「Passarinho」で締めくくった。

ステージのセットチェンジの際には、スカパラが昨年秋にファヴェーラ(貧困地区)を訪れて、子どもたちのブラスバンドと交流した映像が映しだされた。

ファヴェーラブラス秋

第2部は東京スカパラダイスオーケストラのライブだったが、25年以上も海外ツアーを続けているだけあって広いステージをフルに使った動きで、一気に聴衆をスカパラの世界に巻き込んでいった。

Vivo Rioはテーブルと椅子がびっしりと並び、食事や飲み物が提供される会場だったので、最初はおとなしく座って聴いていたブラジル人たちも、途中からどんどん立ち上がってステージ前に押し寄せていく。

エミシーダが参加した「Olha pro céu(オーリャ・プロ・セウ)」は、後半のフリーラップからが圧巻だった。
 
LIVE スカパラ&マルシア 2

さらには美空ひばりの「リンゴ追分」を歌いながらマルシアが登場し、エキゾチックでパワフルなスカに続いて、「ふりむけばヨコハマ」では観客に「ヨ・コ・ハ・マ」と日本語でコールさせて楽しむなど、充実したパフォーマンスでスカパラと3曲を共演して2部が終了した。

アンコールでは全員が一緒に、マルシアがポルトガル語に訳した「上を向いて歩こう(Olhando pra cima)」歌って、3時間に及んだコンサートの幕を閉じた。


(注)あらゆる人種や文化が交じり合う国、ブラジルで新たな一歩を踏み出した「上を向いて歩こう~オーリャ・プロ・セウ(Olha pro céu)」の動画は、2日目を観客が撮影したものや、テレビ出演時の映像がアップされている。






緊急決定!
東京スカパラダイスオーケストラとブラジルのヒップホップ界を代表するEmicidaの対バンが決定!

「リオから東京へ 上を向いて歩こう~Olha pro céu~」

日程:2016年 11月 29日 (火)
会場:東京・恵比寿リキッドルーム
出演:
東京スカパラダイスオーケストラ
Emicida(エミシーダ)

時間:開場18:30/開演19:00凱旋公演



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