TAP the SONG

歌でつながっている国、アメリカで歌い継がれる「故郷の人々(Old Folks at Home)」

2013.11.29

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アメリカ合衆国は歌でつながっている国だと言ってもいい。

市や町や地域のコミュニティを構成する人々は多種多様。
それぞれのコミュニティにとってのアメリカがあり、そこには人々に必要とされる歌がある。
歌が人々を互いに結びつけて、コミュニティで歌いつがれて今日に生きている。

“アメリカ音楽の父”とも称されるスティーブン・フォスターは、1864年1月13日にニューヨークの貧民街で失意のうちに亡くなった。
37歳の若さでただ一人、都会での孤独死だった。

だが、彼が生前に残した多くの歌は、今もなおその生命を保ち続けている。

「My Old Kentucky Home」(「なつかしきケンタッキーの我が家」)はケンタッキーの州歌として、
“スワニー河”の愛称で親しまれている「Old Folks at Home」(「故郷の人々」)はフロリダ州歌として歌いつがれている。

フォスターの歌詞は詩としても成立するほど美しく、音楽的にも自然でメロディーにのせて歌いやすい。
それはほとんどの歌詞を自ら書いていることに関係する。

たとえば“スワニー河”を作る際に、フォスターは本物を見たことがないのに言葉の響きだけで選んだという。
スワニー河は、ジョージア州南部とフロリダ州北部を流れる河だ。

Way down upon de Swanee ribber,Far, far away,
スワニー河へ向かって、遠く、遠く

Dere’s wha my heart is turning ebber,
そこは私の心が向かうところ

Dere’s wha de old folks stay.
そこは懐かしき仲間達がいるところ

アメリカの南部で行われていた大規模な綿花畑(プランテーション)での奴隷生活から逃れ、北部の自由州で生きる黒人達が、生まれ育った故郷と子供の頃を思い出す内容だ。

アフリカ大陸から連れて来られた黒人達にはアフリカの大地が故郷だが、アメリカに生まれた黒人達にとっての故郷は南部の綿花畑である。

アイルランド移民の家系に生まれたフォスターは、幼いころに家のメイドによってよく黒人教会に連れて行ってもらっていた。
そこで聴いた黒人が歌う賛美歌の記憶が音楽の根っこにあるからこそ、こうしたテーマの曲を作ったのであろう。

ブルース・スプリングスティーンはフォスターの“スワニー河”について、こんなふうに語っている。

素晴らしい歌がたくさんある。
例えば“スワニー河” 誰もが知ってる歌だ。

だが、時が経つにつれ、曲の形が変えられてきた。
みんな原形を知らないんだ。
元の形には理由があるのに・・・

ブルースの書いたの「Born in the U.S.A.(ボーン・イン・ザ・U.S.A.)」は、ベトナムから帰還した兵士が直面した困難に抗議するメッセージが込められていたのに、一部では愛国主義的な内容と誤解されて受けとめられた。

選挙運動でもロナルド・レーガン大統領やウォルター・モンデール候補が、この曲をそれぞれに都合がいいように利用しようとしたのは有名な話である。

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