TAP the SONG

〈吐きすて〉の歌の系譜⑥ジャニス・ジョプリンの「ムーヴ・オーヴァー」をカヴァーしたGLIM SPANKY(グリム・スパンキー)

2016.10.07

Pocket
LINEで送る

ジャニス・ジョプリンの遺作となったアルバム『パール』で、1曲目を飾っていた「ムーヴ・オーヴァー」は代表曲のひとつとして知られる。

You say that it’s over baby,
You say that it’s over now,
But still you hang around me, come on,
Won’t you move over.

終わったんだってあんた、言ったわよね
もう、私たちは終わったんだって
なのにどうして私のそばをうろついてるの
ねえ、どっかへ消えてよ


自分から別れておきながら、なぜかそばをうろついている元彼に対して、ジャニスは「Move Over」という言葉を言い放つ。
「ムーヴ・オーヴァー」は〈吐き捨て〉の歌の典型と言える。



この歌が発表されて40年以上が過ぎた2014年、ロックとブルースを基調にした男女二人組からなるロック・ユニットのGLIM SPANKY(グリムスパンキー)が、CMでカヴァーして話題になった。

というのもCMから流れてくる歌声がジャニス・ジョプリンのハスキー・ヴォイスと似ていたので、ジャニスの歌だと思い込んだ人も多かったからだ。
それを歌っていたのが平成生まれで、当時はまだ22歳の松尾レミである。




しかし「ジャニスの再来!」などという声に対して松尾レミは、あっさり大人たちの期待をかわして突き放す。

「私がたどってきた音楽、ルーツの中にジャニス・ジョップリンはいないんです。ジャニスになりたいわけでもないし、目指してもいない。CMで歌わせていただいたのは光栄ですし、そのおかげで注目が集まったのは、もちろんうれしいんですけど、ね(笑)」


そんなクールさを持つ一方で、オリジナル曲の「褒めろよ」を聴けば、無骨とも言えるような手応えがあるロックは、ジャニスとも碓かに通底するものが感じられる。




「褒めろよ」

作曲︰松尾レミ
作詞︰松尾レミ・いしわたり淳治

お世辞何度吐いたって
単純な馬鹿には見抜けないのさ
今日もよいしょしとけばいい
いまに天まで昇り詰めて消えてくさ

(OH OH OH OH) 歯の浮くセリフ 虫酸走るけど
(OH OH OH OH) 我慢すんのは 簡単だろう

褒めろよ いつか世界が掌返すの見たいなら
褒めろよ でかい野望で敵を味方に変えてしまえよ
誰よりも輝く為 褒めろよ 踊る阿呆と踊るフリして

誰が何と言ったって
正解は自分の胸にあんのさ
今日も笑い飛ばせばいい
いまに人も羨む場所へ行くからさ



人気アニメ「ONE PIECE」の映画版で使われた「怒りをくれよ」もそうだったが、GLIM SPANKYは21世紀に突如として日本に現れた〈吐きすて〉の歌の系譜に連なるバンドだ。

ロックもパンクも身体の中から湧き起こる初期衝動を、そのまま吐き出すことで世界に通じた面もある。

GLIM SPANKYの目標は「日本語ロックでの世界進出」であるという。
世界がぐっと近づいてきた現在ならば、不可能ではないと期待したい。

(OH OH OH OH) 古い奴らの 古いやりかたを
(OH OH OH OH) 批判すんのは 簡単だろう

褒めろよ いつか世界が掌返すの見たいなら
褒めろよ でかい野望で敵を味方に変えてしまえよ
褒めろよ いつか時代の波が奴ら流し去るから
褒めろよ 神輿担いで祭り上げりゃご満悦だから
太鼓持って叩きまくれ 褒めろよ 踊る阿呆と踊るフリして






Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

[TAP the SONG]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑