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矢沢永吉を支えたソングライターとしての西岡恭蔵①~「ライフ・イズ・ヴェイン」

2018.11.16

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ふたりが出会ったきっかけについて、西岡恭蔵は「ディレクターの方とか矢沢本人とかが作詞をする人を捜してたんてすよね。で、その中にピックアップされて、今も続いている」と述べていた。
それはキャロルが解散して、矢沢永吉がソロになる前のことである。

初めて逢ったときの印象は、エネルギッシュな人だなぁと思いました。彼と別れてからもしばらくそのエネルギーが残って離れなかったというか、あんなにエネルギーのある人ってなかなかいないと思うんてすよね。オーラとかうものが本当にあるのかどうかは、分かんないてすけど、なんかこう放つものてすかね、そういうものが強かったです。


矢沢にとってソロ・アルバムは大きな賭けであった。
日本で初めて成功したロックンロール・バンドのキャロルを解散すると決めたとき、矢沢はバンドでは燃焼しきれなかったものを1枚のアルバムに表現しようとした。

物事を決定したらすぐさま行動に移す、その決断と行動力において矢沢の本領が発揮される。
さっそくアマチュア時代からの知り合いだった相沢行夫に声をかけて、ソロ・ライブにおけるバンドのツアー・メンバーを集める一方で、アメリカでレコーディングする12曲のデモテープを用意した。

矢沢は「キャロル解散が、俺の中で決まった時、すぐにアメリカ行きを考えた」と、アルバムが完成した直後のインタビューで語っていた。
デモテープを送った相手は『ある愛の歌』や『ゴッドファーザー』などをプロデュースしたトム・マックだったが、まもなくオーケーの返事をもらったことで渡米する。



アルバムが出来上がるまでにかかったのは2週間だったが、、それしか時間を必要としなかったのはレコーディング前の段階で、過剰なくらい入念に準備をしていたからだ。

もうひとつ、短期間で完成した理由はアメリカのミュージシャンとのコミュニケーションが上手くいったことも大きかったという。
たとえば弦のミュージシャンたちはいずれも高齢で、頭のすっかりはげた人も多かったのだが、矢沢は日比谷野音でのキャロル解散コンサートのビデオを見てもらった。
すると「わかった、お前のことは!」「ヤザワ、わかったよ」と、みんなが口々に言ってくれたのだ。

ロサンゼルスのA&Mスタジオで完成したテープを持って帰国した矢沢は、すでに目処を付けていたツアー・メンバーの相沢行夫のほか、西岡恭蔵と松本隆に作詞を依頼している。

そのなかに「♪ ドレミファソラシドミ~」と始まるシンプルなメロディの楽曲があった。
そこに付けられた歌詞は「♪ 夜中のハイウェイで奴は死んだ」という、アメリカン・ハードボイルドを思わせる意外なフレーズだった。
矢沢はそれを最後まで唄ってみて、西岡恭蔵の秘めている才能を確信したに違いない。
短い歌詞の奥にはさりげなく、壮大な物語が横たわっていたのである。


「ライフ・イズ・ヴェイン」
作詞:西岡恭蔵 作曲:矢沢永吉

夜中のハイウェイで奴は死んだ
アスファルト血にそめて 夜空を見つめ
好きな女ができたと 照れて
オレに教えてくれた あいつなのに
ひとりで死ぬなんて 馬鹿な奴さ
Life is vain, life is vain

奴の面影追って夜を
ひとりあてなくゆけば響くあの唄
ひび割れた唄声で 
Life is vain, life is vain


これがアメリカを舞台とするのであれば、映画スターのジェームス・ディーンの物語になる。
だが当時の日本ならば世界王者のまま夭逝した若きボクサー、大場政夫を思い浮かべる人が多かったはずだ。

大場がスポーツカーを運転していて首都高速で事故死したのは、1973年1月25日のことだった。享年23。
ちなみに西岡の誕生日は1948年5月7日 、矢沢は1949年9月14日、大場は1949年10月21日、みんな同世代である。

大場は食べることにも苦労するほどの極貧家庭で育ったが、プロボクシングで世界王者になって両親のために家を建てようと決意し、中学卒業後に御徒町の菓子屋で働きながらジムに通って腕を磨いた。
そして6年後には自分の力で世界の頂点にまで登りつめて、WBA世界フライ級チャンピオンになり、それから5度の防衛戦を勝利したヒーローであった。

しかし、約束どおりにファイトマネーを貯めて両親に家をプレゼントした後で、現役王者のまま大場はひとりで逝ってしまった。



矢沢はアルバム『アイ・ラブ・ユー、OK』が完成した段階で、早くもセカンドアルバムの準備に入っている。

「洋楽のレコードを聴いていると、どれを聞いても色気がある。ヴォーカルは色気だ。そんな色気のあるレコードを作りたい」


そしてセカンド・アルバムの歌詞は全11曲のうち、西岡に5曲が依頼されることになる。
西岡はこの時、どうすれば男の色気が引き出せるのかに取り組んで、ふたりとも納得のいく名曲が誕生する。

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