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映画『明日に向って撃て!』から生まれたスタンダード曲の「雨にぬれても」

2019.12.27

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当代一のソングライターとしてバート・バカラックの名前を全世界に知らしめた1曲が、「雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin’ On My Head)」である。
ジョージ・ロイ・ヒル監督の西部劇映画『明日に向って撃て!』の挿入歌として、1969年に作られた楽曲だった。

19世紀末のアメリカに実在した銀行強盗、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドという2人のアウトローを描いたこの映画は、反体制的な若者たちの生き方を新しい感覚で、情感を込めて描いたアメリカン・ニューシネマの代表作としても知られる。

劇中にポール・ニューマンとキャサリン・ロスが自転車に乗って、デートを楽しむ牧歌的なシーンと、ラストのストップ・モーションはともに映画史に残る屈指の名場面として、後世にまで語り継がれている。



その自転車のシーンでは斬新な映像がモンタージュされたバックに、B.J.トーマスの歌がフルサイズで流れている。
これはつかの間の平和と、その先に待ち受ける死を暗示していた。

雨のしずくがずっと僕の頭に降り注いでいる

ベッドから足がはみ出して寝ている男みたいだ

何もかもがしっくりこないんだ


監督は撮影時にもこの曲を流しながら、演技は俳優2人のアドリブにすべてを任せたという。
後に有名になったそのシーンは公開当時のアメリカで、映画批評家に悪評紛々だったといわれている。
しかし観客には圧倒的に支持されたのことから、「雨にぬれても」はビルボードの年間チャートでも1位となる大ヒットを記録した。
そして第42回アカデミー賞でも、作曲賞と主題歌賞に選ばれたのだった。

世界のスタンダード曲になったこの歌は、今でも世界中で愛聴されていて、イギリスのマニック・ストリート・プリーチャーズ、アメリカのベン・フォールズ・ファイヴ、日本では山崎まさよしなどにもカヴァーされている。



だが今となってはバカラック本人が歌うさり気ないヴァージョンが、最もしっくりくるのではないだろうか。




(注)本コラムは2014年4月18日に公開されました。

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