beginthebeguine

TAP the SONG

あの感傷的で美しいスタンダート・ソングたち‥‥「ビギン・ザ・ビギン」

2014.03.14

1935年、ミュージカルの楽曲を書き下ろしていたアメリカのソングライター、コ-ル・ポーターは当時パリで流行していたダンスのビギン=beguineと、英語のビギン=beginを結びつけるアイデアを思いつく。
「begin the beguine」は云わば言葉遊び、ソングライターらしい洒落た語呂合わせだった。

ビギン=beguineはカリブ海に浮かぶ西インド諸島の一つ、フランス領マルティニ―クに生まれたダンスで、ヨーロッパに伝わる社交ダンスとラテン系民族のダンスがミクスチャーされたカップル・ダンスだ。

When they begin the beiguine
It brings back the sound of music so tender
It brings back a night of torpical splendor
It brings back a memory ever green

ビギンの演奏が始まると
優しい調べがあたりをつつむ
輝ける南国の夜がよみがえる
色あせることのない思い出が浮かぶ

I’m with you once more under the stars
And down by the shore an orchestra’s playing
And even the palms seem to be swaying
when they begin the beguine

星空の下にまた君といる僕
浜辺ではオーケストラが音楽を奏で
ヤシの木々までがその葉をゆらす
ビギンの演奏が始まると


同年にブロードウェイ・ミュージカル『ジュビリー』で最初に使われたが、クラリネット奏者のアーティ・ショウがオーケストラ向けのインストゥルメンタルに編曲してレコード化する。


クラリネットを活かした軽快なスイング・ナンバーとなった「Begin The Beguine」は、「Indian Love Call」のB面として1938年に発売されると、記録的な売上げの大ヒットとなった。

1941年にはコール・ポーターの伝記映画「夜も昼も」(原題Night and Day )が製作され、挿入歌に使われたことで世界中に広まっていった。

フランク・シナトラやペリー・コモ、エラ・フィッツジェラルドほか、数えきれないほど多くのシンガーにカヴァーされて、スタンダード・ソングを代表する1曲になっている。

1982年にはフリオ・イグレシアスが歌うスペイン語ヴァージョンが、世界中でリバイバル・ヒットした。


21世紀になってから作られたコール・ポーターの伝記映画『五線譜のラブレター』(原題: De-Lovely)では、アラニス・モリセット、エルヴィス・コステロ、ナタリー・コールなどがパフォーマンスを見せるが、「Begin The Beguine」を歌ったのはロック・シンガーのシェリル・クロウだ。

「私はポーターの音楽を聞いて育ったの。このジャンルの作曲家では、彼より優れた人なんて思いつかないわね。あの感傷的で美しいスタンダート・ソングたち……『Begin The Beguine』は歌詞が本当に素晴らしくて、あの曲を歌えてとてもうれしかった」


日本で知られるようになったのは1950年に今はなきショウ・ビジネスの殿堂、日劇で開かれた『歌う越路吹雪』ショウで歌われてからのことだ。その翌年に行われた帝国劇場公演の『モルガンお雪』でも、越路吹雪は劇中で「ビギン・ザ・ビギン」を歌い、翌年にはレコ―ドも発売された。

ちなみにこの「モルガンお雪」が大評判となって、越路吹雪は日本のエンターティナーのトップの座についたと言われている。

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