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【第5回】ザ・ウィークエンド──グラミー賞7部門にノミネートされた、新時代のポップ・スター

2015.12.27

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ソウル/R&Bをルーツに持つ現在進行形アーティストをクローズアップしながら、過去と未来につながる名盤をあわせて紹介していく、HMV Record shopとのコラボ連載。第5回目は、マイケル・ジャクソンを彷彿させる存在とも評されるシンガー・ソングライター/トラックメイカーのザ・ウィークエンドを取り上げます。

テイラー・スウィフトやアリアナ・グランデら人気アーティストと次々と共演し、さらにはパフ・ダディ、カニエ・ウエスト、スティーヴィ・ワンダーもその才能を絶賛する〈ザ・ウィークエンド〉。2015年グラミー賞の年間最優秀レコード、年間最優秀アルバムなど7部門にノミネートされたザ・ウィークエンドとは一体何者なのだろうか?

ザ・ウィークエンドことエイベル・テスファイは、1990年2月16日、カナダ・スカーバロー生まれのエチオピア系カナダ人。シングルマザーの家庭で育った彼は、母親が聴いていたエチオピア音楽、そしてマイケル・ジャクソンの歌から無意識のうちに影響を受けたという。マイケルの「今夜はドント・ストップ」をきっかけに自分の声に目覚め、「ダーティ・ダイアナ」の歌詞を読んで自分も曲を書きたいという欲求が芽生えたそうだ。

90年代後半のR&B、ロック・ポップスに触れながら音楽観を形成していった彼は、高校を中退し家を出て、トロントを拠点に音楽活動をはじめる。本名や顔を隠して制作したミックステープ3本を無料配信すると、ネット上で瞬く間に拡散。自らがトラックメイキングしたオリジナル曲を中心に、マイケル・ジャクソンのカヴァー「D.D.(ダーティ・ダイアナ)」や、スージー&ザ・バンシーズ、コクトー・ツインズ、フランス・ギャルなどをサンプリングしていくユニークなアプローチにも注目され、ピッチフォークやガーディアン、ニューヨークタイムズなどのメディアもこぞって取り上げた。しかし、インタビューなどの露出は極力排し、そのミステリアスな存在感がかえってリスナーの好奇心を煽っていった。

2012年にメジャー・レーベルと契約し、これまでに発表したミックステープ3本をまとめたボックスセット『Trilogy』を発表。翌年にはファースト・アルバム『Kiss Land』をリリースすると、全米初登場2位を記録。2014年には、アリアナ・グランデのアルバムにフィーチャーされ「Love Me Harder」を共作。2015年には世界的にヒットした官能的な映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のテーマ曲に自身の曲「Earned It」が起用され、さらにはアルバムからのリード・シングル「Can’t Feel My Face」は全米シングル・チャートで1位を記録。一気にポップ・シーンを駆け上がっていった。

注目が高まる中、2015年8月にリリースされたのがセカンド・アルバム『Beauty Behind The Madness』。初登場から3週連続で全米アルバム・チャート1位を記録しただけでなく、80の国と地域のiTunesチャートでも1位となった。

ラナ・デル・レイ、エド・シーランなど人気アーティストも参加した『Beauty Behind The Madness』は、いわゆるR&Bのカテゴリーには収まりきらない魅力にあふれた作品だ。ポーティスヘッドやゴールディーのようなトリップホップにも通じるエッジの効いた退廃的な雰囲気の中にシンフォニックな美しさも漂う重層的なサウンド、流麗なメロディライン、内省的なリリックで描いていく彼のソングライティングの才とトラックメイキング・センスが見事に結実。何より最大の魅力は、ザ・ウィークエンドの歌声。儚げな哀感とセクシーさがない混ぜになったハイトーン・ボイスや美しいファルセットは、ダークな世界に射し込む光のように聴き手の心を惹きこんでいく。

アヴァンギャルドなアプローチの中に、連綿と続くR&Bの伝統を残しながら、マイケル・ジャクソンやプリンスに通じる自由で革新的な才気を感じさせるザ・ウィークエンド。新時代のポップ・スターは、これから先どんな景色を見せてくれるのか楽しみでならない。(宮内健)


“ザ・ウィークエンド『Beauty

ザ・ウィークエンド
『Beauty Behind The Madness』

(ユニバーサル ミュージック)


http://www.theweeknd.com/
http://www.universal-music.co.jp/the-weeknd/

ザ・ウィークエンド「Can’t Feel My Face」 MV
ザ・ウィークエンド「Earned It (Fifty Shades Of Grey) 」 MV
ザ・ウィークエンド「In The Night」 MV


ザ・ウィークエンドとつながる名盤たち  SELECTED by HMV record shop渋谷

ザ・ウィークエンドの音楽を一言で表すなら「唯一無二」。これまでの音楽シーンに、このスタイルのアーティストがいなかったからこそ、多くのリスナーに評価されているのでしょう。オルタナR&Bという表現とはひと味違うし、ロックでもポップスでもない。R&Bでもない。はたまたネオ・ソウルという言葉でも表現できない……。もはやザ・ウィークエンドというジャンルと言っても過言ではないでしょう。一部ではマイケル・ジャクソンの再来!?なんて表現もされていますが、ある意味この独創性のある音楽(誰にも真似することができないスタイル)はたしかにマイケルの再来という言葉がぴったりなのかもしれません。ということで、前置きが長くなってしまいましたが、今回はザ・ウィークエンド好きにオススメする現在の音楽シーンにおいてジャンルを越えて影響力をもつ若手アーティストの作品をご紹介させて頂きます。若手といっても超ド級の人気アーティストですので、すでにご存じの方も多いかと思いますが、まだ聴いたことがないという方がいらっしゃいましたら是非チェックしてみてください♪(堀内学 *ディスク選盤・コメントも)

“ラナ・デル・レイ『Born

ラナ・デル・レイ
『Born To Die』

(ユニバーサル ミュージック)

  • HMV


  • ジャンル分けするのも難しいですが、強いていうならロック/ポップス。現在の音楽シーンで彼女の独創性を上回るアーティストは皆無といってもいいでしょう。自ら作詞作曲、さらにはPVまで作成してしまうスーパー・マルチ・アーティスト。これまでに3枚のアルバムをリリースしていますが、中でもこのデビュー作のクオリティの高さは尋常じゃありません。

“ドレイク『If

ドレイク
『If You’re Reading This Too Late』

(ユニバーサルミュージック)

  • HMV


  • 現在のヒップホップ界において今や実力、人気共にナンバーワン。ケンドリック・ラマーの方が人気でしょうという声もあるかもしれませんが、これまでのキャリアや実績を考えれば彼の方が上手でしょう。ザ・ウィークエンドのデビューする際にはドレイクが太鼓判を押したことで、さらに話題をよんだことも今では有名な話。ザ・ウィークエンド のスタイルも彼から多大な影響を受けているのではないでしょうか。

“ディスクロージャー『Caracal』"

ディスクロージャー
『Caracal』

(ユニバーサル ミュージック)

  • HMV


  • 現在のクラブ・ミュージック・シーンにおいて、もっとも面白い音楽を作成しているのが彼ら。最新作ではザ・ウィークエンドも参加。一聴してわかる独自性のあるサウンドと、参加しているゲストの持ち味を活かすサウンドメイキングは、現在のクラブ・シーンでも間違いなく最高峰と言えるでしょう。ザ・ウィークエンドとともに今後の活躍が本当に楽しみ。



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